駐車中の車にぶつけてしまい、そのまま立ち去った──いわゆる「当て逃げ」。被害者が車内にいなかった場合、それは単なる物損事故として処理されるだけなのでしょうか?実は、乗員の有無に関係なく、当て逃げには法的な責任が問われる可能性があります。この記事では、当て逃げがどのように処理されるのか、またどんな責任が発生するのかについて詳しく解説します。
当て逃げの定義と道路交通法における位置づけ
当て逃げは、正式には「交通事故を起こしたにも関わらず、その場を立ち去る行為」を指します。道路交通法第72条では、事故を起こした運転者は直ちに車両を停止し、被害者の救護や警察への報告義務があると規定されています。
被害者が車内にいない場合でも、事故現場から逃げた場合は「報告義務違反」や「事故不申告」として罰せられる可能性があります。つまり、人が乗っていなくても、法的には立派な違反です。
物損事故と人身事故の違い
物損事故とは、車や物だけが損害を受け、人にケガがなかった場合の事故です。人身事故は、相手にけがをさせてしまったケースです。当て逃げが「物損事故」であったとしても、警察に届け出をせず立ち去れば「道路交通法違反」として処罰されます。
物損事故でも、立ち去った場合は以下の罪に問われる可能性があります。
- 道路交通法違反(報告義務違反)
- 道路交通法違反(救護義務違反)※けが人がいた場合
- 器物損壊罪(刑法261条)
被害者がいなくても刑事罰の対象となる理由
事故の被害者が車内にいなかったとしても、その車の所有者が損害を被っていることは明らかです。例えば、駐車場で他人の車にぶつけてそのまま立ち去った場合、損害賠償義務だけでなく、刑事処分(罰金刑など)の対象にもなり得ます。
さらに、ドライブレコーダーや防犯カメラの普及により、加害者の特定がしやすくなっており、当て逃げはますます検挙されやすい時代になっています。
当て逃げがバレたときの主な処分内容
当て逃げが発覚した場合、以下のような処分が科される可能性があります。
- 免許停止または取り消し
- 反則金または刑事罰(罰金または懲役)
- 自動車保険の等級ダウン・保険料の大幅増
- 損害賠償請求
一度の過ちが大きな代償を伴う可能性があります。逃げずに誠実に対応することが、最終的に最も損失の少ない選択です。
事故を起こしたときの正しい対処法
事故を起こしてしまった場合は、たとえ相手が不在であっても、必ず以下の行動を取りましょう。
- 車を安全な場所に停車
- 警察へ通報(110番)
- 現場の写真撮影・状況の記録
- 事故相手の車両情報を記録
- 保険会社への報告
これらを行えば「事故後の適切な対応」と見なされ、違法行為にはなりません。
まとめ:乗員がいなくても当て逃げは厳しく処罰される
当て逃げは、人が乗っていなかった場合でも「道路交通法違反」や「器物損壊罪」として刑事罰の対象になり得ます。事故後はその場から離れず、必ず警察へ連絡することが重要です。正しい対応が自分を守る最善の方法です。