交通事故に遭ったあと、「人身事故にすべきか物損事故のままにすべきか」で迷う人は少なくありません。特に、事故直前にスマートフォンを操作していたなど、自身にも過失があるのではと気になるケースでは、届け出をためらう方もいます。しかし、適切な判断をしないと、保険金や通院費に大きな影響を及ぼすことも。本記事では、人身事故と物損事故の違い、過失割合への影響、ドライブレコーダーの映像の扱いについて詳しく解説します。
人身事故と物損事故の違いとは?
交通事故は大きく分けて「人身事故」と「物損事故」に分類されます。人身事故とは、事故によりけが人が出た場合に警察へ届け出を行うことで成立します。これにより、事故証明書に「人身扱い」が記載され、治療費・慰謝料・休業損害などの補償対象が明確になります。
一方、物損事故のままでは、治療にかかる費用の一部が自賠責からの補償でカバーされない、また慰謝料が支払われないなどのデメリットがあります。
人身事故にすると過失割合や責任が重くなる?
「人身事故にすると自分が不利になるのでは?」と心配する人もいます。たとえば、事故直前にスマホを触っていたことがドラレコに映っていた場合などです。ですが、基本的には事故の責任(過失割合)は、事故時の運転状況と現場の交通状況に基づいて決まるものであり、人身事故として届け出たこと自体が過失割合に影響することはほとんどありません。
ただし、相手のドライブレコーダーに「スマホ操作」が明確に映っており、それが事故の要因と判断されれば、わずかに割合に影響する可能性は否定できません。しかし、それでも人身事故として届け出るメリットのほうが大きいのが実情です。
人身事故にするメリットと受け取れる保険金の違い
人身事故として警察に届け出ることで、次のような補償を正当に受け取ることができます。
- 治療費
- 通院慰謝料(1日4,200円〜が相場)
- 通院交通費
- 休業損害(日当換算または証明提出)
物損扱いでは、これらがすべて支払われないか、任意保険会社との交渉に左右される可能性が高くなります。
相手車両のドラレコ映像が証拠になる可能性
スマホ操作の有無が気になる場合、相手のドラレコに映っていたとしても、警察が確認するかどうかはケースバイケースです。通常、第三者(目撃者)がいない限り、映像確認を徹底的に行うことはまれです。
また、スマホ操作が明確に事故の原因と結びついていない限り、それだけで違反点数が加点されたり、刑罰に問われることもほとんどありません。ただし、気になる場合は弁護士への相談も選択肢となります。
点数制度と免許への影響について
人身事故になると、加害者に対しては交通違反点数制度に基づいた点数が加点されることがあります。しかし、被害者側に過失があるとしても、それが「加点対象」になることは基本的にありません。
「スマホ操作中の事故=ながら運転での違反点数」となるには、警察による明確な認定が必要であり、かつ事故との因果関係が証明されなければなりません。したがって、心配しすぎる必要はないでしょう。
まとめ:人身事故届けは慎重に、でも前向きに
事故後に身体の痛みが続いている場合、人身事故として届け出て正当な補償を受けることは大切な判断です。スマートフォンの操作が気になるとしても、それが即座に過失割合や違反点数に直結するとは限りません。
不安がある場合は、保険会社または交通事故に詳しい弁護士に相談し、自身にとって最善の選択を見極めることをおすすめします。身体の健康と将来の生活を守るためにも、冷静かつ慎重な判断を心がけましょう。