交差点での右折時に直進車との接触や衝突の危険が生じた際、その責任がどちらにあるかは非常に複雑な判断を要します。この記事では、特に信号無視の直進車と右折車との間で事故未遂が起きたケースについて、法的責任の観点から解説していきます。
交差点における基本的な交通ルール
交差点では原則として直進車が優先されます。しかしながら、信号によって右折が認められている場合は、右折車が法的に保護される場面もあります。たとえば右折専用信号が点灯している状況下での右折は、直進車より優先されるのが通常です。
一方で、たとえ右折信号があったとしても、交差点内での安全確認義務は右折車にも課されており、「前方不注意」が問われるケースもあります。
信号無視の直進車がいた場合の過失割合
信号を無視して交差点に進入してきた車両が主な過失を負うのは明白です。特に赤信号で進入した直進車と、青の右折矢印に従って進行した右折車が接触した場合、基本的には直進車の責任が圧倒的に重くなります。
判例では、信号無視の直進車に80％〜90％以上の過失が認定されることが多く、右折車に過失が問われるのはごく一部（例：確認不足など）にとどまります。
事故未遂でも過失は成立するか？
実際に事故が発生していなくても、極端な進路妨害や回避行動によって車両にダメージを与えた場合（例えば横転など）には、法的には「危険運転」や「過失による損害賠償責任」が問われることがあります。
ただし今回のように、右折側が信号に従っており、直進車が明らかに赤信号を無視していた場合、例え事故になっていても、右折車の過失は非常に軽微もしくはゼロと判断される可能性が高いです。
右折車側に求められる注意義務
いくら信号に従っていたとしても、交差点での右折時には他の車両や歩行者の動向を注視する注意義務があります。特に見通しの悪い交差点や、信号無視が多いとされる場所では、慎重な進行が求められます。
判例上も、右折信号があっても「直前確認を怠った」として微小ながら過失を認定されることがあるため、安全確認は徹底しましょう。
交通事故時の対応と証拠の重要性
仮に事故が起きた場合、現場の状況を記録するためにドライブレコーダーや目撃者の証言が非常に重要になります。信号無視を証明する証拠があれば、過失割合の交渉でも有利に働きます。
また、物損事故や未遂であっても、相手が過失を否認する場合は、警察に報告し、交通事故証明書の取得など公的記録を残すことが推奨されます。
まとめ：信号無視が主因の場合、右折車の責任は限定的
信号無視をした直進車によって事故の危険が生じた場合、原則として直進車側に大きな過失が認定される傾向があります。ただし右折車にも最低限の安全確認義務があるため、完全に過失がないとは言い切れない場面もある点に注意が必要です。
事故を回避するには、信号に従うことはもちろんですが、常に「他の車両がルールを守らないかもしれない」という意識で行動することが、自分自身を守る最善策となるでしょう。