最近、詐欺電話にあえて騙されたフリをして相手の時間を奪うという人が増えています。実際、悪質業者の稼働時間を削ぐという意図は理解できますが、それに潜むリスクについて知っておくことも大切です。
騙されたフリの善意とその限界
「自分は騙されない」という前提で詐欺電話に対応し、時間を奪うことは、他の被害者を減らす目的としては一理あります。しかし、これは一歩間違えば自分の個人情報をさらに広めるリスクに繋がる可能性もあります。
特に、相手に会話のリアクションや応対パターンを記録されてしまうと、「カモリスト」に載せられ、別の詐欺業者へと情報が転売される危険性があります。
個人情報が正確だった場合の注意点
既に詐欺電話の相手が氏名・住所・電話番号など正確な情報を知っていた場合、それは過去の何らかの情報流出により名簿が出回っている可能性があります。
こうした場合、詐欺業者は「この人はつながる」「話を聞く」と判断し、他業者へもリストが転売されやすくなります。
からかうことでリスト価値が上がる?
多くの詐欺業者は、話を長く聞いてくれる人=「見込みがある」と考える傾向にあります。冗談のつもりでも、「話してくれる相手」は、詐欺師にとって貴重な存在。
結果的に、別の業者からも何度も電話がかかるようになるという事態に陥ることも。からかい続けることで「ターゲット強化」されてしまう可能性は否定できません。
専門家も推奨する「完全無視」こそ最善
総務省や警察庁でも詐欺電話対策としては「着信拒否」や「通話録音装置の利用」を勧めています。からかうことよりも、関わらない・応じない・ブロックすることが根本的な対策です。
また、不審な着信は市区町村の消費生活センターに報告することで、地域での注意喚起にもつながります。
個人情報保護の基本的な対策
- 知らない電話番号からの着信は原則出ない
- 留守電や録音機能での対応を基本にする
- 過去の情報流出が疑われる場合は、通信会社へ番号変更を相談
さらに、名簿業者への対策として、「特定商取引法に基づく名簿削除依頼」も有効です。
まとめ:善意は理解されにくく、リスクの方が高い
詐欺電話で騙されたフリをして応じる行為は、短期的には痛快かもしれません。しかし、長期的には個人情報が流通し続けるリスクを高める行為でもあります。詐欺業者との接点は断つことがもっとも有効な自衛策です。今後は「完全無視」と「通報」がベストな選択と言えるでしょう。