交通事故において「過失割合」は損害賠償や保険対応に大きく関わります。特に加害者が飲酒運転をしていた場合、被害者側の過失がどのように評価されるのかは気になるところです。この記事では、信号停止中に飲酒運転車両に追突されたケースについて、被害車両の落ち度(過失)の有無を解説します。
結論:基本的に被害車両に過失はない
道路交通法や過去の判例において、信号で停止していた車が後方から追突された場合、追突した側が100%加害者とされるのが原則です。
追突された側が信号で停止していたのであれば、「通常の運転行為」と見なされ、過失は問われないのが一般的です。しかも、加害者が飲酒運転という違法行為をしていた場合は、より一層の責任が問われます。
飲酒運転が及ぼす過失割合への影響
飲酒運転が明らかであれば、加害者の故意または重過失と評価され、損害賠償請求でも「著しい過失」や「重大な過失」として扱われます。これにより、損害の全額請求が認められやすくなります。
また、自賠責保険の補償範囲内だけでなく、任意保険でも保険金の支払いが行われ、悪質な場合は加害者が後に保険会社から求償されることもあります。
被害車両に落ち度が生じるケースは?
一見完璧に見える被害車両にも、稀に過失が問われるケースがあります。例えば、停車位置が法的に禁止されている場所(交差点直前や横断歩道上など)だった場合には、軽微ながらも過失と見なされる可能性があります。
しかし、それが原因で追突されたとは言い難い場合、多くの判例では加害者の過失が圧倒的に重いとされています。
実際の判例に見る傾向
判例では、停止中の車両が後続車に追突され、かつ加害者が飲酒運転をしていたケースでは、ほぼ例外なく加害者側が全面的に責任を負っています。
例えば、東京地裁のある判決では「飲酒による運転能力の著しい低下により、停止中の車両に対して安全な車間距離を取らずに追突した責任は全面的に被告にある」とされました。
保険対応と被害者のとるべき対応
事故後は、速やかに警察へ連絡し、事故証明を取得することが重要です。また、飲酒の有無は刑事責任にも関わるため、現場での証拠保存が後の対応を左右します。
保険会社とのやりとりでは、「過失割合を認めてはならない」といったアドバイスを受けることもあるため、専門家(弁護士や交通事故相談センターなど)に相談することをおすすめします。
まとめ:飲酒運転による追突は加害者の全面的な過失
信号停止中に飲酒運転の車に追突された場合、原則として被害者には過失はなく、全面的に加害者が責任を負うことになります。
ただし、事実関係や証拠の内容によっては判断が左右される場合もあるため、事故直後の対応や記録が非常に重要です。法的なアドバイスを受けつつ、冷静に対応することが最善の道です。