フランチャイズ店舗が営業時間を勝手に変更すると契約違反になる?現状と法的視点から解説

近年、さまざまなフランチャイズ店舗で「営業時間を短縮します」といった案内を見る機会が増えてきました。とくにコンビニエンスストアに限らず、飲食店やサービス業などでも同様の動きが見られます。しかし「勝手に営業時間を変えると契約違反になるのでは?」という疑問を持つ方も多いでしょう。本記事ではフランチャイズ契約における営業時間の扱いや、実際にトラブルになった事例、そして今後の動向について解説します。

フランチャイズ契約における営業時間の規定とは

一般的なフランチャイズ契約書には、営業時間や営業日が明記されている場合がほとんどです。これらは本部と加盟店の合意事項であり、勝手に変更することは基本的には契約違反にあたるとされています。

たとえば「24時間営業を義務づける」と記載されている場合、それに従うことが契約上の義務です。変更には原則として本部の承諾が必要になります。

セブンイレブン時短営業問題が与えた影響

2019年、大阪府東大阪市のセブンイレブン加盟店が「人手不足」を理由に深夜営業の中止を決断し、大きな話題となりました。この件では本部側との契約違反が争点となり、最終的に契約解除に至りましたが、その背景には「過重な労働環境」や「実情に合わない運営形態」がありました。

この事例を契機に、24時間営業の見直しを含む柔軟な営業形態を容認する企業も増え、社会的な議論も進みました。

営業時間変更が認められるケースとは?

現在では多くのフランチャイズ本部が、一定の条件下で営業時間の短縮を認めるようになっています。具体的には以下のようなケースが挙げられます。

  • 深刻な人手不足
  • 近隣住民とのトラブル(騒音・治安など)
  • 自然災害や感染症などの非常事態
  • 本部からの特別承諾

これらに該当する場合は、本部に相談の上で営業時間の変更が可能となることもあります。ただし、書面での承諾を得ることが前提です。

なぜ最近、営業時間短縮が増えているのか

コロナ禍を経て、消費者のライフスタイルや来店時間が大きく変わったことが背景にあります。夜間の来店が減ったことや、スタッフ確保の難しさから、夜間営業の必要性が再検討されるようになりました。

また、企業側でも持続可能な店舗運営を目指す動きが加速しており、「無理に24時間営業を続ける必要はない」とする判断が浸透しつつあります。

トラブル回避のためのポイント

営業時間の変更を検討しているフランチャイズ加盟店経営者は、以下の点に注意する必要があります。

  • 必ず事前に本部と協議する
  • 書面での合意・承認を得る
  • 変更理由を明確に伝える(人員状況、売上データなど)
  • 変更後の運営体制を明記する

一方的な変更はトラブルのもとになり、最悪の場合は契約解除や損害賠償のリスクもあるため、慎重に進めることが大切です。

まとめ:営業時間短縮は「勝手に」ではなく「協議して」行う時代へ

近年のフランチャイズ店舗では、営業時間の見直しが社会的にも容認されるようになってきましたが、依然として契約上のルールが優先されます。営業時間を勝手に変更することは、原則として契約違反となる可能性があるため、事前に本部と十分に協議し、合意を得た上で実行することが重要です。働き方や経営スタイルが多様化する中、柔軟で合理的な店舗運営が求められています。

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