トラブル時によく出てくる「誓約書」ですが、作成の背景に虚偽があった場合、それは法的にどこまで有効なのでしょうか?特に「弁護士と一緒に作った」と偽って相手に安心感を与え、署名を促したような場合、その誓約書の効力には疑問が残ります。この記事では、虚偽説明と契約の有効性に関する法律的な観点をわかりやすく解説します。
誓約書の法的効力とは?
誓約書は民法上の「契約」の一種と捉えられることが多く、両者の意思の合致によって成立します。書面で交わされた内容には一定の証拠力があり、署名・押印があれば、当事者の意思が明確に示されたものとして法的効力を持つと判断されやすくなります。
ただし、その前提として重要なのが「意思の自由性と正当性」です。相手が強制されたり、虚偽の事実を信じ込まされたりしていた場合には、この自由意思が欠けていたとみなされ、契約(この場合は誓約書)自体が無効または取り消しの対象となる可能性があります。
虚偽の説明で作成された誓約書は無効になり得る
「弁護士と一緒に作った」と説明しておきながら、実際には法律専門家の関与がなかった場合、その発言は重大な虚偽説明となる可能性があります。これは民法第96条の「詐欺による意思表示」に該当する可能性があり、相手がその説明を信じて誓約書を書いた場合、取り消しが認められる可能性があります。
実際の判例でも、強圧的な状況下や虚偽説明によって作成された誓約書の有効性が否定された事例があります。たとえば、契約内容に重大な誤認を招くような説明があった場合、民法第95条の「錯誤」によって無効となることもあります。
裁判で争点となるポイントとは?
仮に誓約書の有効性を争う場面になった場合、裁判所が重視するのは「作成時の状況」「相手の認識」「説明の内容」の3点です。具体的には以下のような点が焦点になります。
- 説明者が「弁護士と作った」と明言したか
- 相手がそれを信じて署名したか
- その説明がなければ署名しなかった可能性があるか
上記の条件が揃えば、誓約書の一部または全部が無効とされる可能性があります。
実際の対処方法と注意点
もし「虚偽説明によって誓約書を書かされた」と感じている場合は、内容の精査と法的対応が必要です。まずは冷静に書面を保管し、録音・LINE・メールなどのやり取りが残っていれば証拠として保全しましょう。
次に、法テラスや弁護士会の無料法律相談などで、実際の状況を説明し、法的アドバイスを受けることが重要です。内容によっては、正式に誓約書の無効確認や取り消し請求を行うことも視野に入ります。
相手が本当に弁護士と関与しているか確認する方法
相手が「弁護士に相談済み」と言っても、実際には弁護士の関与がないケースもあります。確認したい場合は、文書に記載されている弁護士名で弁護士会に所属確認を取ることが可能です。
また、弁護士が正式に関与している場合は、書面のどこかに「●●弁護士作成」などと記載されるのが一般的であり、そうでない場合は、あくまで相手の主張にすぎない可能性が高いです。
まとめ:誓約書は内容と作成状況が重要
「弁護士と一緒に作った」との虚偽説明で書かされた誓約書は、法的に無効または取り消しの対象になり得ます。署名の背景に詐欺や錯誤があったと証明できれば、裁判でも有利に展開できる可能性があります。
不安がある場合は、専門家によるチェックを受けた上で、冷静に対応することが大切です。誓約書の内容だけでなく、どのような経緯で書かされたかが、効力判断の鍵を握ります。