口頭で伝えた遺言は有効になる?文字が書けないときの正しい遺言の作り方

高齢や病気などで本人が自筆で文字を書くことができない状況でも、想いを残したいというケースは少なくありません。この記事では、そうした場合にどのように遺言を作成すれば法的に有効になるのか、注意点や正しい方法について詳しく解説します。

自筆証書遺言の要件と限界

日本の法律では、自筆証書遺言には全文・日付・氏名・押印を遺言者自身が書く必要があります(民法第968条)。つまり、たとえ本人の意志に基づいていても、家族や第三者が代筆したものは原則として無効です。

たとえば、病床で「○○に遺産を譲りたい」と口頭で伝え、家族がそれをメモしたとしても、それだけでは正式な遺言とは認められません。

公正証書遺言なら代筆・署名困難でもOK

自筆が難しい場合は、公正証書遺言を利用するのがもっとも確実です。これは公証役場で公証人が作成するもので、本人の口述に基づいて公証人が内容を記録します。

たとえ本人が署名できなくても、代筆や指印(親指の拇印)で対応可能です。さらに、作成時には証人2名の立ち会いが必要なので、信頼性が高く、裁判所の検認手続きも不要です。

病状が急変したときに可能な「危急時遺言」

危篤状態などで公証役場に行く時間がない場合には、危急時遺言(民法976条)が認められる場合があります。これは、死亡の危険が迫っている状況下で作成する特別な形式の遺言です。

この場合は、証人3人以上の前で口頭で遺言内容を述べ、その内容を1人の証人が書面にまとめて署名するという方法です。ただし、作成から20日以内に家庭裁判所で確認(遺言の確認審判)を受けなければ無効になるリスクがあります。

法的に有効な遺言を残すためにすべきこと

本人が意識や判断力を持っているうちに、できるだけ早く公正証書遺言の作成に着手することが重要です。公証役場の職員が病院や自宅に出張してくれる制度もあるため、早めの相談が肝心です。

また、遺言書に関する専門知識を持つ司法書士や弁護士に相談することで、状況に適した遺言方式を選ぶことができます。

遺言に関するよくある誤解

  • 家族が代筆してもよい→× 無効になる可能性大
  • 録音や動画でもOK→× 法的効力なし(例外あり)
  • 口約束で十分→× トラブルの元

感情的には正しくても、法的な形式を満たしていなければ遺言の効力は認められません。後々の争いを避けるためにも、正確な手続きを取りましょう。

まとめ:大切な想いを正しく残すために

  • 文字が書けないなら公正証書遺言を検討
  • 家族の代筆は基本的に無効なので注意
  • 緊急時は危急時遺言という方法もあるが制約あり
  • 専門家のサポートで確実な遺言を残す

遺言は、残された家族への最後のメッセージです。形式を守り、確かな方法で想いを届けましょう。

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