国家賠償法の第1条・第2条を判例で理解する|重要ポイントと書き方のコツ

国家賠償法は公務員や公共施設による損害について国や地方公共団体の責任を問う制度であり、特に1条と2条の理解は法学部生にとって必須です。ここでは条文の違いと代表的判例を挙げながら、論述式問題での書き方のコツを整理します。

国家賠償法1条とは?|違法な公権力行使による賠償

国家賠償法第1条は「公務員が職務を行うにあたり、故意または過失によって違法に他人に損害を与えたとき」には、国または公共団体がその賠償責任を負うことを定めています。

この条文の根拠は、行政行為に対する国民の権利保護にあり、主に警察官・教員・税務職員などの「公務員個人の違法行為」が対象となります。

判例で理解する1条:大阪南港事件

「大阪南港事件」(最判平成14年9月6日)は、暴走族への警察官の追跡行為に過失が認められ、被追跡者が事故死したケースで国家賠償が成立しました。

職務上の行為であること、違法性があること、そして損害との因果関係が問われる点が1条のポイントです。

国家賠償法2条とは?|公の営造物責任

2条は「道路・橋・堤防・校舎などの公の営造物に設置や管理の瑕疵があった場合」の損害について、国や自治体が責任を負うと定めています。

1条との大きな違いは「人的な違法行為ではなく、物的な瑕疵に基づく責任」であるという点です。

判例で理解する2条:名古屋立看板事件

「名古屋立看板倒壊事件」(最判昭和50年3月25日)は、商店街の案内看板が強風で倒れ通行人に重傷を負わせた事例で、市の設置管理に瑕疵があるとされ2条の国家賠償責任が認められました。

瑕疵の有無の判断は「通常有すべき安全性を欠くかどうか」によります。

論述問題の書き方のコツ

問題文に「1条・2条それぞれについて」とある場合は、まず構成として2つのセクションに明確に分けて論述しましょう。

各条ごとに、①条文の要件、②適用範囲、③代表判例の紹介、④学説や判例の判断基準、⑤自分の評価(簡潔でよい)を意識して書くと高得点が期待できます。

まとめ

国家賠償法1条は「公務員の違法行為」、2条は「営造物の瑕疵」と、対象や要件が大きく異なります。

それぞれの条文の理解には、判例を軸とした整理が有効であり、論述では構成力と具体性が問われます。

判例を通して条文の実務的な意味を捉え、自信を持って試験に臨みましょう。

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