未成年者同士でのお金の貸し借りには、民法や貸金業法、さらには刑法に関わる要素も含まれるため、注意が必要です。この記事では、未成年同士の金銭トラブルにおいて特に注意すべき法律的なポイントを解説します。
貸金にかかる利息の上限:利息制限法の適用範囲
利息制限法では、貸付金額に応じて上限金利が定められています。元本が10万円未満の場合は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は年15%が上限です。これは貸付の総額に対してではなく、「1回の貸付ごと」に適用されます。
例えば1万円を貸して1万1000円で返済させた場合、その利息は1000円=10%と見なされ、違法ではありませんが、同じように年換算して超過する場合は利息制限法違反になる可能性があります。
未成年者の契約の取り消しと返済義務
民法では、未成年者が保護者の同意なく結んだ契約は、原則として取り消すことができます。つまり、保護者の同意がなければ、未成年同士の金銭契約は法的効力を持たない可能性があります。
ただし、契約が繰り返されており、実際に返済があった証拠(LINEの記録など)があれば、裁判所で一部認められる可能性もあります。簡易裁判所への少額訴訟は未成年でも可能ですが、保護者の同意や代理人が必要となる場合があります。
返済の意思がないと詐欺罪になる可能性
借りる段階から「返す意思がまったくなかった」場合、これは民事上の債務不履行ではなく、刑事上の詐欺罪に該当する可能性があります。証明は難しいですが、返済を一部していた履歴があれば「最初から騙すつもりだった」との立証は困難です。
ただし、繰り返しの貸し借りと返済遅延の中で態度が変化したようなケースは、刑事ではなく民事での解決を目指すのが現実的です。
遅延損害金や利息請求はできるのか
返済期日を過ぎた場合、通常は「遅延損害金」を請求できます。民間の契約では年14.6%が一般的な上限です。しかし、未成年者間の口約束でそこまで詳細な合意がない場合、実際の請求は難しいでしょう。
LINEなどの記録で「期日」「金額」が明記されていれば、一定の請求根拠にはなります。
学校への通報と進学取り消しの影響
金銭トラブルを理由に学校へ通報した場合、学校がどう判断するかはケースバイケースです。未成年同士のトラブルが重大な規律違反に発展した場合、学校推薦や進学先への連絡が行われる可能性も否定できません。
とはいえ、「金を返さないから進学を止める」という目的で学校に通報することは、私的制裁にあたるおそれもあり、慎重に行う必要があります。
まとめ:未成年間の金銭トラブルは感情で動かず法的整理を
未成年同士の金銭の貸し借りは、感情的になりやすい問題です。しかし、証拠を整え、保護者の協力を得て、法的に認められる形での解決を目指すことが重要です。安易な私的制裁や脅しではなく、民事訴訟や調停など、冷静な対応を検討しましょう。