後遺障害等級12級でも「障害者」になるのか?労災・障害認定と制度上の違いをわかりやすく解説

労働中のケガが原因で後遺症が残り、等級認定を受けた場合、「自分は障害者に該当するのか?」と不安に感じる方も多いです。特に「後遺障害等級12級」など比較的軽度とされる等級に認定されたときは、その意味合いや今後の生活への影響が分かりにくいもの。本記事では、後遺障害等級と障害者認定との違い、制度ごとの扱い、社会保障への影響などを解説します。

後遺障害等級12級とは何か

交通事故や労働災害による後遺症が残った場合、保険会社や労災保険によって後遺障害等級の認定が行われます。12級は比較的軽度な障害であり、たとえば「手指の可動域制限」や「耳鳴りが常時ある」などが該当します。

12級は14段階ある等級の中では中程度の障害とされ、認定されることで損害賠償や労災補償が受けられる対象となります。

障害者認定との違いとは?

重要なのは、「後遺障害等級」と「障害者認定(身体障害者手帳など)」はまったく別の制度であることです。後遺障害等級は損害賠償や保険のための民間・行政上の評価であり、障害者手帳などは福祉支援のための公的認定です。

たとえば、12級の後遺障害を負っていても、身体障害者手帳の交付対象にならない場合があります。そのため、後遺障害の等級が付いたからといって自動的に「障害者」と制度上みなされるわけではありません。

身体障害者手帳が交付される基準

身体障害者手帳は、身体機能の障害が一定の基準を満たす場合に交付されます。たとえば、視力や聴力、手足の機能に重大な障害があり、日常生活に支障があるレベルが対象です。

一方、後遺障害等級12級は、日常生活への影響が比較的軽度なケースが多く、身体障害者手帳の交付基準には該当しないことがほとんどです。

12級でも受けられる補償や支援

障害者手帳がなくても、後遺障害12級に該当すれば、以下のような補償や制度の対象になることがあります。

  • 自賠責保険や労災保険による後遺障害慰謝料の支給
  • 企業からの損害賠償請求
  • 就労先での配慮(軽作業への変更など)

また、一定の後遺障害があることを職場や保険会社に伝えることで、働き方の相談や業務負担の調整が可能になることもあります。

後遺障害と向き合いながら働くには

後遺障害12級は目立ちにくい障害であることが多く、周囲に理解されにくい反面、働きながら症状と付き合うことが可能な等級です。企業の産業医制度を利用したり、労働局の相談窓口を活用することで、就労上の配慮を受けやすくなります。

また、症状によってはハローワークの就労支援制度や職業訓練の対象になる場合もあるため、早めに専門機関へ相談するのがおすすめです。

まとめ:後遺障害12級=障害者とは限らない

後遺障害等級12級の認定を受けても、それだけで「障害者」と法的に扱われることはありません。身体障害者手帳などの公的な認定制度とは別に考える必要があります。

しかし、補償や支援の対象となる制度は存在しており、必要に応じて自分の症状に合った制度を活用していくことが大切です。自分の身体と生活を守るためにも、制度の正しい理解と専門家への相談がカギとなります。

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