自動車事故で保険を使う際、「免責金額を払わないといけないのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。特に、相手に過失がある場合や事故の責任割合が争点になるようなケースでは、「この免責、本当に払うべき?」と感じるのも自然です。この記事では、自動車保険における免責金額の仕組みや、免責を支払わずに済む可能性のあるケース、交渉のポイントについて詳しく解説します。
そもそも免責金額とは何か?
免責金額とは、保険を使って修理や賠償を行う際に「自己負担しなければならない金額」です。車両保険においては「10万円免責」といった契約内容が多く、保険金が支払われる場合でも、まずこの金額は自己負担になります。
また、対物賠償保険などでも「3万円の免責設定」がされていることがあり、これも被保険者が一定額を自己負担することで保険料を抑える仕組みの一つです。
免責を支払わずに済む可能性はあるのか?
原則として契約に免責金額が設定されている場合、それを支払う義務があります。しかし、次のようなケースでは実質的に負担せずに済む可能性もあります。
- 相手方が過失の多くを負っている場合:相手の保険会社が「過失割合に応じた金額」を負担することで、自己負担相当分を相殺できる可能性があります。
- 相手方に全過失がある場合:自身の保険を使わず、相手の対物賠償保険で全額カバーできれば、免責の発生そのものを回避できます。
- 保険会社が免責を「立替処理」してくれる場合:一時的に免責を立替え、後で相手側に請求する処理をしてくれる保険会社も存在します。
ただしこれらはあくまで「交渉次第」や「相手側の加入保険の内容」に左右されるため、確実な免責回避を保証するものではありません。
過失割合が与える影響とその交渉の重要性
免責負担においてもっとも大きく影響するのが「過失割合」です。ご自身に10割の過失が認定されれば当然ながら全額自己負担となり、相手が7〜8割過失を負うと認定されれば、その分交渉によって実質的な補填が期待できます。
事故の状況が「相手が一時停止を無視して進入してきた」ようなケースでは、通常は相手の過失割合が高くなる可能性があります。ただし、「あなたが一時停止なしで走行していた」という点も過失の要素として加味されるため、交差点進入時の優先関係やスピード、ドライブレコーダーの記録などが重要になります。
免責回避に向けてできること
免責を払わずに済ませるためには、以下のような対策が有効です。
- ドライブレコーダーの映像を提出する(過失割合を有利に導く材料)
- 保険会社に「相手の保険会社への求償交渉」を依頼する
- 契約内容(免責条項)の再確認を行い、特約で免責が軽減されていないかを確認
さらに、保険会社が「示談代行サービス」を行っている場合は積極的に活用し、免責金額分の回収について交渉してもらうことも検討しましょう。
免責があっても保険を使うべきか?
免責があるからといって「保険を使わない」という選択肢は、結果的にリスクが高くなる可能性があります。特に修理費用が高額になる場合や、相手方に対する賠償金が高額になるケースでは、保険を使わないと自己負担が跳ね上がってしまいます。
免責金額以上の補償が受けられる場合は、保険を活用する方が合理的な判断です。
まとめ:免責は交渉と状況次第で回避の可能性も
保険契約における免責金額は基本的に支払う義務がありますが、事故の過失割合や相手方の対応、保険会社の交渉力によっては回避・軽減できる余地があります。まずは事故状況を正確に伝え、証拠資料を提出することで、過失割合の交渉に有利な立場を築くことが大切です。
不安な場合は、弁護士特約の利用や法律相談を活用することで、より適切な対応が取れるでしょう。