交通事故は一瞬の判断や不可抗力によって発生することがありますが、事故の責任(過失割合)を明確にすることは損害賠償や保険請求の場面で非常に重要です。この記事では、対向車からタイヤが外れ、それを避けるために停止した車が後続車に追突されたという特殊なケースをもとに、事故の第一原因や法的な責任についてわかりやすく解説します。
事故の第一原因とは?
「第一原因」とは、その事故を引き起こした最も根本的な原因を指します。複数の要因が絡む事故では、警察や保険会社が原因を調査し、どの行動または過失が事故を招いたのかを総合的に判断します。
本件のように、対向車からタイヤが外れた場合、それが直接的な原因で停止する必要が生じたのであれば、その整備不良が事故の第一原因として扱われる可能性はあります。
整備不良によるタイヤ脱落の責任
車両の整備不良によりタイヤが脱落した場合、整備義務を怠った運転者または所有者に重大な過失があると判断されることが多いです。
例えば、ナットの締め忘れやタイヤ交換後の点検不足、劣化したホイールやボルトの放置などは、いずれも運転者の管理責任の範疇です。このような管理ミスにより事故が誘発された場合、整備不良の車両側に主な過失が認定されることがあります。
追突した後続車にも責任はあるのか
一般的に「追突=後続車が悪い」と考えられますが、例外もあります。道路交通法第26条では、前方の車両が急停止した場合でも、安全な車間距離を保っていない後続車には一定の過失があるとされるからです。
しかし、今回のように予測不能な突発事態(タイヤの飛来)によって停止した車に対しては、後続車が過失を問われない、または過失割合が大幅に軽減される可能性もあります。
過失割合の判断はどう行われる?
実際の過失割合は、事故の状況や証拠資料(ドライブレコーダー映像、目撃証言など)をもとに保険会社同士が協議して決定します。
本件のような事故では、次のような要素が検討されます。
- タイヤが飛んできた状況(速度、方向、回避可能性)
- 停止車の位置や停車の仕方(急ブレーキ、路肩寄せなど)
- 後続車との車間距離や速度
- 全体的な交通状況(天候、渋滞など)
実際にあった類似ケースの判例
過去の判例では、高速道路で荷台から物が落下し、回避行動を取った先行車に後続車が衝突したケースで、「落下物を生じさせた車両が第一原因」とされ、落下物の管理者に大きな責任が課された事例もあります。
このような事例は、本件においても整備不良によるタイヤ脱落が主要因と判断される根拠となり得ます。
まとめ:整備不良が第一原因とされる可能性が高い
対向車からタイヤが外れた結果、それを避けるために停止した車が後続車に追突された場合、事故の第一原因は整備不良によるタイヤ脱落と判断される可能性が高いです。
ただし、追突した後続車にも一定の注意義務があるため、過失割合の判断は個別の状況によって異なります。事故後はできるだけ多くの証拠(ドライブレコーダー、写真、目撃証言)を集めておくことが重要です。
もし保険会社の判断に納得がいかない場合は、交通事故に詳しい弁護士への相談も検討してみましょう。