故障車を預けたら勝手に売却?自賠責返金トラブルから見る車屋との信頼関係と法律的ポイント

長年付き合いのある自動車販売店で、思わぬトラブルに巻き込まれることは珍しくありません。今回は「廃車にすると聞いていた車が実は売却されていた」「自賠責保険の返金を申し出るまで何も言われなかった」というケースについて、法的観点と実務的対応の視点から解説します。

廃車と売却の違いと業者側の判断権限

一般的に、車の所有者が車屋に「廃車をお願いした」としても、それが明確な文書で取り交わされていない場合、業者側が車の状態を見て「売却可能」と判断し売却すること自体は違法とはいえません。

ただし、口頭で「廃車にする」と明言されていたのであれば、売却行為は顧客との信頼関係を損なうものであり、少なくとも事前説明が不足していたといえます。

自賠責保険の解約返戻金の扱い

自賠責保険は、車を廃車にしたり譲渡した際に、未経過分の保険料が返金される仕組みがあります。この返金金額は「保険契約者」へ返されるものであり、通常は元の車の所有者(今回で言えばお母様)に戻るべきものです。

それを業者が申請し、何も言わずに自分で取得していた場合、これは「不当利得」にあたる可能性があります。もし問い合わせがなければ返金もされなかったとすれば、誠実な業務対応とは言い難いでしょう。

悪徳業者かどうかを判断するポイント

「悪徳」とまでは断言できない場合でも、以下のような要素が重なると注意が必要です。

  • 説明と異なる処理(例:「廃車」→実際は売却)
  • 自賠責の返金を申し出がない限り対応しない
  • 処分内容を顧客に報告していない
  • 過去にも同様の不透明な取引があった

これらの点が複数当てはまるようであれば、善意の取引が行われているか疑念を持つのは自然です。

信頼関係の維持と交渉のポイント

家族ぐるみで付き合いがあった業者であれば、まずは感情的にならず、「次回からは処理前に連絡をもらえるようにしたい」と伝えるなど、信頼関係を前提に改善を促す姿勢が効果的です。

また、自賠責の返戻金額の計算書などを正式に提出してもらい、透明性のある対応をお願いするのも良い方法です。

今後トラブルを防ぐための契約の工夫

再発を防ぐには、以下のような書面のやり取りを習慣化すると安心です。

  • 廃車・売却・修理などの選択についての承諾書
  • 自賠責やリサイクル料の扱いについて明記した確認書
  • 引き取り車の処理完了報告書

このような文書のやり取りは、信頼関係を保ちながらも互いの誤解やリスクを防ぐ役割を果たします。

まとめ:悪意の有無より透明性が信頼のカギ

今回のような事例では、必ずしも「悪徳業者」とまでは言えないものの、対応に不透明な部分があったことは否めません。信頼関係があるからこそ、「口約束ではなく書面や説明を求めること」が、円滑な取引を続けるための重要な一歩となります。

小さな違和感でも見過ごさず、丁寧に確認・記録することで、今後のトラブルを未然に防ぐことができます。

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