交通事故によって負傷した際、適切な補償を受けるためには、入通院慰謝料や後遺障害等級の申請など複雑な手続きが必要になります。特に脛骨高原骨折などの骨折ケースでは、固定期間や症状固定後の流れ、さらに保険会社からのレセプト取得の遅延などが問題となることもあります。本記事では、交通事故被害者が知っておくべき慰謝料の計算方法や後遺障害申請における注意点、レセプト遅延の対処法を詳しく解説します。
入通院慰謝料とは?ギブス固定期間はカウントされる?
交通事故による慰謝料には「入通院慰謝料」と「後遺障害慰謝料」があり、入通院慰謝料はケガの治療のために通った日数や入院日数に基づき算出されます。
ギブス固定中であっても、実際に通院していない日は原則として慰謝料の対象にはなりません。ただし、松葉杖やギブス装着による生活上の制限が大きい場合、「実通院日数 × 2」などの算定である程度の補正がされることがあります。
慰謝料の早見表と相場感
一般的な「赤い本」(日弁連交通事故相談センター基準)をもとにした入通院慰謝料の相場は以下のようになります。
通院期間 | 慰謝料相場(目安) |
---|---|
1ヶ月(約10回通院) | 15万〜20万円 |
3ヶ月(約30回通院) | 50万〜60万円 |
6ヶ月(約60回通院) | 90万〜100万円 |
これはあくまでも目安であり、通院頻度、治療内容、生活の支障度により変動することがあります。
後遺障害申請の流れと症状固定の意味
医師により「これ以上良くならない」と診断された時点で「症状固定」とされ、その時点で後遺障害等級の申請が可能となります。脛骨高原骨折の場合、関節可動域の制限や痛みが残れば等級認定の対象となる可能性があります。
等級によって慰謝料や逸失利益が大きく異なります。たとえば、後遺障害12級では慰謝料は約290万円、14級では約110万円が目安です。
レセプトとは?保険会社が遅い理由と対処法
レセプトとは、病院が健康保険や任意保険会社へ診療報酬を請求する際に用いる明細書で、後遺障害等級申請の根拠資料となります。加害者側の保険会社からこのレセプトを入手する必要がありますが、以下のような理由で遅れることがあります。
- レセプト発行は月単位処理で、医療機関側の締め処理が遅い
- 保険会社の社内処理が混み合っている
- そもそも積極的に協力していないケース
このような場合、弁護士や司法書士からの正式な催促状を送ることで対応を早められることがあります。
トラブルを避けるための実務アドバイス
・保険会社に毎週の進捗報告を求める(書面またはメールで)
・弁護士に状況を報告し、内容証明郵便の送付を検討
・病院側から直接レセプト控えをもらえるか確認(一部非開示の可能性あり)
・万が一保険会社から返答が得られない場合、損害保険協会の相談窓口も利用できます
まとめ
交通事故の被害に遭った場合、慰謝料の計算や後遺障害の手続きは非常に煩雑です。ギブス固定中の扱いやレセプトの遅延など、制度を正しく理解していなければ不利益を被ることもあります。
レセプトが届かない、保険会社の対応が遅いと感じたら、遠慮せずに専門家を通じて催促し、進捗を記録に残すことが重要です。早期解決のためにも、専門家との連携を密にしましょう。