退職後に必要な書類が会社から送られてこないというトラブルは、決して珍しい話ではありません。特に退職代行を通じた場合や、退職時にトラブルがあった場合、会社側が嫌がらせのように書類を送付しないケースも見受けられます。本記事では、源泉徴収票をはじめとする重要書類が届かない場合の対処法と、会社側の法的責任について解説します。
退職時に会社から受け取るべき書類とは?
退職後に受け取るべき書類は複数ありますが、特に重要なのは以下の3つです。
- 源泉徴収票(年末調整・確定申告に必要)
- 離職票(失業給付の申請に必要)
- 雇用保険被保険者証(再就職時に提出)
これらの書類がなければ、税務手続きや雇用保険の申請に支障をきたします。特に源泉徴収票は、所得税に関する書類であるため、法的にも会社に交付義務があります。
源泉徴収票を送らないのは違法?法的根拠は?
会社は所得税法第226条に基づき、退職した従業員に対して源泉徴収票を「1か月以内に交付」する義務があります。送付しない場合、税務署からの指導や勧告の対象になることもあります。
なお、この源泉徴収票は給与支払者である会社に発行義務があるため、退職者側が請求しないと発行されないというのは言い訳にはなりません。
弁護士の退職代行を通じた場合の影響
退職代行サービスを通して退職した場合でも、書類交付の義務は変わりません。弁護士が介入している場合は法的な効力を持つため、書類未送付は悪質な対応と見なされる可能性が高くなります。
弁護士が正式に請求しているにもかかわらず、会社が書類を出さない場合は、労働基準監督署や税務署に相談することが効果的です。
会社が書類を出さないとどうなる?企業リスク
書類の送付を拒否・無視する会社には以下のようなリスクがあります。
- 税務署による調査・是正勧告
- 労働基準監督署からの行政指導
- 退職者からの損害賠償請求や民事訴訟
- SNSなどでの風評リスク拡大
特に近年は、企業のコンプライアンス意識が問われる時代です。退職者への対応が悪質だと、採用活動や業界内の信用にも影響する可能性があります。
源泉徴収票が届かない場合の具体的な対処法
源泉徴収票が届かない場合は、以下の手順で対応しましょう。
- ステップ1: 内容証明郵便で請求を行う(証拠が残る)
- ステップ2: 税務署に「会社が源泉徴収票を発行しない」と通報する
- ステップ3: 労働基準監督署に違法性を相談
- ステップ4: 必要に応じて労働問題に詳しい弁護士に相談
なお、確定申告時期に間に合わない場合でも、税務署に事情を説明することで柔軟な対応を受けられることもあります。
悪質な企業と向き合うには?
退職後の書類トラブルは精神的にも負担になりますが、必要な対応を冷静に行うことが大切です。また、悪質な企業に対しては、同じような被害を防ぐためにも公的機関へ相談・通報することが望ましい対応です。
企業の存続について疑問を感じるのは当然ですが、法に則って冷静に対応すれば、たとえ相手が対応を拒んでも解決の道はあります。
まとめ:退職書類の未送付は見逃さず、法的手段を活用しよう
退職後に源泉徴収票などが届かない場合、会社には明確な交付義務があります。請求しても届かない場合は、税務署や労基署への相談を躊躇せず行いましょう。法的なサポートを得ることで、問題をスムーズに解決できる可能性が高まります。
あなたの権利を守るためにも、正当な手続きを踏んで対応していくことが何より重要です。