飲酒運転中に追突された場合の刑事責任は?停止中でも問われる可能性とは

飲酒運転はそれ自体が重い刑罰の対象であり、たとえ事故の直接原因ではなくても、刑事処分を受ける可能性があります。特に死亡事故が絡む場合には、状況に応じて厳しい判断が下されることもあります。この記事では、飲酒運転の車が停止中に追突され、相手が死亡したケースについて、その刑事責任の有無や可能性について詳しく解説します。

飲酒運転はそれ自体で刑罰対象

まず大前提として、飲酒運転は道路交通法第65条に違反しており、発覚した時点で刑罰の対象です。たとえ停止中であっても、アルコールを摂取した状態で車を運転した(または運転可能な状態にある)という事実により、懲役または罰金が科されることになります。

具体的には、酒気帯び運転では3年以下の懲役または50万円以下の罰金、酒酔い運転では5年以下の懲役または100万円以下の罰金が規定されています。

事故の原因が飲酒車でない場合の過失判断

本件のように、信号停止中のトラック(飲酒運転)が、後方から追突され、その追突車両の運転者が死亡した場合、交通事故としての主たる責任は追突車両側にあると判断されます。

このような場合、刑法上の業務上過失致死傷罪(刑法第211条)の適用は困難であり、あくまでトラック運転者の飲酒行為そのものが処罰の対象になります。したがって、事故の原因には該当しないが、飲酒という事実だけで刑罰を受けることはあり得るということになります。

過去の判例や運用傾向

過去の判例でも、信号待ちなど明確な停止状態であった飲酒運転の車が追突されたケースにおいては、事故の過失割合での責任は問われず、飲酒の事実のみでの処分にとどまる傾向があります。

例えば、2015年の大阪地裁の事例では、信号待ち中に追突された飲酒運転者に対しては、交通違反として行政処分(免停)と略式罰金のみが科されました。ただし、量刑は通常よりも重くなりやすく、悪質性が高いと判断されれば実刑もあり得ます。

飲酒運転が死亡事故と結びついたときのリスク

仮に検察が「飲酒によって判断能力が低下し、停止の仕方が不適切だった」などと主張した場合、一部過失ありとされる可能性も否定できません。ただしこれは非常に限定的な判断であり、明確な証拠が必要です。

また、社会的責任や道義的責任が問われるケースもあり、企業や運送業者に所属する運転者であれば、企業側の責任も同時に追及される可能性があります。

まとめ:停止中であっても飲酒運転は重大な違反

たとえ事故の直接的な原因が飲酒運転車ではなくても、飲酒運転をしていた事実だけで刑事処罰を受ける可能性は十分にあります。信号で停止していたという状況でも、法律上の違反には変わりません。

結果として死亡事故が発生した場合でも、飲酒運転車が原因でないならば致死罪などの重罪にはなりにくいですが、行政処分や略式起訴、社会的な信用失墜は避けられません。

改めて、飲酒運転が持つ重大なリスクと責任を再認識し、絶対に避けるべきであるという意識を持つことが重要です。

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