交通事故で相手の車に損傷を与えたにもかかわらず、相手が「修理しなくていい」「お金もいらない」と言ってきた場合、ホッとするかもしれません。しかし、そのまま放置しても本当に大丈夫なのか、不安を感じる方も多いはずです。本記事では、こうしたケースでの法的・実務的な注意点について詳しく解説します。
相手が請求を放棄した場合の基本的な考え方
交通事故において、被害者側が補償を求めないと明言している場合でも、後から請求される可能性がゼロになるわけではありません。特に書面で明確な免責合意(示談)がない限り、損害賠償請求権は原則として3年間有効です。
例えば「やっぱり修理したい」「価値が下がった」などと、数ヶ月後に請求されるケースもあります。そのため、口頭での「大丈夫」は必ずしも法的な保障にはなりません。
トラブル回避のためにやるべきこと
後々のトラブルを防ぐためには、以下の点を実行することが推奨されます。
- 相手が補償不要と述べた内容を書面に残す(署名・押印付きが望ましい)
- 事故現場や損傷状況を写真で記録しておく
- 保険会社へ事故報告を必ず行う(相手が請求しない場合でも)
特に任意保険を使って処理する際には、保険会社の判断と手続きが重要になりますので、自分で勝手に処理しないことが大切です。
加害者が補償を申し出ても相手が受け取らない理由とは?
相手が補償を望まない理由としては、以下のようなケースがあります。
- 修理するほどの傷ではないと考えている
- 手続きが面倒で関わりたくない
- 保険を使うと等級が下がることを懸念している
- 後日、自分で修理する意向がある
このような背景があるため、相手の態度が変わる可能性も踏まえ、記録を残すことが重要です。
保険を使うべきか?自費で対応すべきか?
相手が補償不要と言っても、保険会社への報告は絶対に必要です。後から相手が請求してきた際に、無保険扱いとなってしまう可能性もあるため、事故発生時には必ず報告を行いましょう。
また、自費で対応する場合でも、相手と正式な示談書を交わすことで将来的なトラブルを避けられます。保険を使わず済ませたい場合でも、保険会社に相談しながら手続きを進めることが望ましいです。
実際のトラブル事例と学べる教訓
あるケースでは、事故当初に「お金はいらない」と言っていた相手が、半年後に「価値が下がったから20万円払ってほしい」と主張。書面での示談がなかったため、法的請求が可能となり、最終的に調停に発展しました。
また別の事例では、保険会社を通じて正式に示談書を作成していたため、相手が後日請求してきても無効とされ、追加の支払い義務は発生しませんでした。
まとめ:油断は禁物、記録と手続きをしっかり
交通事故で相手が補償不要と述べた場合でも、書面による示談・保険会社への報告・証拠の記録は欠かさずに行うべきです。そうすることで、後からのトラブルや予期せぬ請求を防ぐことができます。
感情や口約束に流されず、冷静に法的・保険的な手続きを踏むことが、自分を守るためにも最も大切なポイントです。