交通事故で相手が負傷した場合、加害者は必ず取り調べを受けるのか?業務上過失傷害罪との関係を解説

交通事故において相手が怪我をした場合、「過失割合に関係なく、業務上過失傷害罪の被疑者として取り調べを受けるのか?」という疑問は多くの方が抱える重要な問題です。この記事では、その法律的な扱いや取り調べの有無、加害者としての立場について詳しく解説します。

交通事故と業務上過失傷害罪の関係

交通事故で人が負傷すると、加害者には刑法第211条の「業務上過失傷害罪」が適用される可能性があります。これは、自動車運転という”業務に従事する行為”において過失により人を負傷させた場合に成立する犯罪です。

刑罰は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」とされており、事故の重大性や過失の度合いによって量刑が決まります。

過失割合と取り調べの関係

過失割合がたとえ被害者側に大きくても、相手が怪我をすれば基本的に加害者側は警察の事情聴取(取り調べ)を受けることになります。なぜなら、刑事手続き上「事故によって負傷者が出た」という事実がある限り、刑事責任の有無を捜査機関が判断する必要があるからです。

つまり、過失割合が1:9であっても、1の側は警察の捜査対象になる可能性が高いということです。

捜査の流れと被疑者になるかどうか

事故後、警察は実況見分や当事者からの聞き取りを行い、負傷の程度や事故の状況を確認します。取り調べの結果、業務上過失傷害罪の構成要件に該当すると判断されれば、「被疑者」として書類送検される可能性があります。

一方で、明らかに被害者側に全面的な過失があると判断される場合や、怪我が軽微であり刑事処罰に値しないと判断された場合は、不起訴や不起訴相当処分となることもあります。

実例:過失割合が少なくても取り調べ対象になったケース

実際の事例では、過失割合が20%しかなかった加害者が、相手が骨折したことを理由に取り調べを受け、最終的に略式起訴で罰金刑となったケースもあります。

このように、過失の比率よりも「怪我の程度」と「自らの注意義務違反」が重要であり、それによって刑事責任が問われるかが決まります。

民事と刑事の違いを理解する

過失割合は主に民事上の責任、すなわち損害賠償(自動車保険など)における負担割合を決める要素です。一方で、刑事事件では「法令違反」「安全運転義務違反」などが重視され、損害の発生と過失の因果関係に焦点が当たります。

そのため、保険の支払いや賠償責任とは別に、刑事処分を受ける可能性がある点を理解しておくことが重要です。

まとめ:取り調べを受ける可能性は高いが不起訴もある

交通事故で相手に怪我を負わせた場合、過失割合に関係なく警察の取り調べを受ける可能性があります。ただし、それが直ちに刑事罰に直結するわけではありません。捜査結果や検察判断によって、不起訴となることも多々あります。

もし取り調べを受けた場合でも、弁護士などの専門家に相談し、適切な対応を取ることが大切です。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール