交通事故の被害者として保険会社から提示された示談金が思ったよりも少なく、「この金額で納得してしまってよいのか」と悩む方は少なくありません。この記事では、弁護士基準と紛争処理センターを活用した示談交渉について、適正な示談金を得るための具体的なポイントを解説します。
保険会社の提示額はあくまで「任意交渉ベース」
保険会社が提示してくる示談金は、加害者側の立場から見た最低限の支払いを前提に計算された「任意基準」が多く、被害者の実際の損害や精神的苦痛を適切に反映していないケースが多々あります。
特に後遺障害が認定されたケースでは、弁護士基準(裁判基準)との金額差が数倍になることも珍しくありません。
交通事故紛争処理センターとは?
交通事故紛争処理センターは、国土交通省などの支援で運営される公的機関で、中立的な立場から事故の賠償問題についての和解あっせんを行っています。しかも相談や手続きは無料です。
ここでは、過去の判例や弁護士基準に基づいた妥当な賠償額が示されやすく、保険会社の任意提示よりも高額になる可能性が高いのが特徴です。
後遺障害14級が認定された場合の賠償額例
後遺障害14級(例えば首のむち打ち等)では、慰謝料の相場は弁護士基準で約110万円、逸失利益は職業・年収によりますが年収600万円の方であれば約150万円前後が見込まれることもあります。
また、通院慰謝料についても「日額×通院日数」だけでなく、「期間に応じた相場基準」が用いられることも多く、任意基準より高く算定される傾向があります。
有給取得日の補償とその争点
有給休暇で通院した場合、保険会社は「給与の減額がない」として半額補償を提示することがあります。しかし、有給は労働者の財産であり、消費した時点で損害があるとの判例も存在します。
したがって、紛争処理センターや弁護士を通じて「全額補償」を主張する余地は十分にあります。
弁護士特約の活用は正解
すでに弁護士特約を利用しているのであれば、費用の負担なく弁護士を通じた交渉が可能です。また、紛争処理センターに代理人として同席してもらうことで、より有利な条件での和解を目指すことができます。
弁護士特約を使って紛争処理センターで斡旋を受けることは、時間はかかっても長期的に見て金銭面での利益が大きくなることが多いです。
まとめ:示談金に納得できないときは迷わず専門機関へ
交通事故の示談金に納得できない場合、紛争処理センターや弁護士を活用することで、適正な補償額を受け取れる可能性が高くなります。特に後遺障害があるケースや、有給・通院日数などで争点がある場合は、任意交渉だけで終わらせるべきではありません。
一度示談してしまうと原則やり直しはできません。冷静に、慎重に判断し、必要なら弁護士とともに納得のいく交渉を進めましょう。