分譲マンションの名義が夫名義の場合、妻の遺産に含まれるか?相続で見落としがちな注意点を解説

相続は遺産の内容や名義、共有関係などによって判断が分かれる非常にデリケートな分野です。特に、夫婦で暮らしていた住まいがどちらの遺産に含まれるのかは、多くのご家庭で混乱を招くポイントとなります。この記事では、分譲マンションの名義が夫になっている場合に、妻が他界したときそのマンションが遺産に含まれるかどうかを中心に解説していきます。

名義が重要な判断基準:所有者が誰かを確認しよう

不動産は、登記簿上の名義人が誰かによって所有権が決まります。今回のケースでは、分譲マンションの名義が「父親」であるため、法律上は父親の財産となります。つまり、名義が母親でなければ、基本的には母親の遺産として扱われることはありません。

例外的に「実質的には妻の所有だった」という主張も可能ですが、立証が非常に難しいため、実務上は登記名義が最重要視されます。

夫婦共有財産として扱える可能性とは?

婚姻中に取得した財産については、名義に関係なく「共有財産」とみなされるケースがあります。たとえば、住宅ローンの支払いを夫婦で折半していた、あるいは購入費用の一部を妻が負担していたなど、共有性が認められる要素があれば、持ち分相当は妻の遺産として扱える可能性があります。

この場合、家庭裁判所での調停や審判で「共有持分の主張」を立てる必要が出てきます。ただし、証拠が求められるため、領収書や振込記録、口座履歴などが重要になります。

遺産対象になるものとならないものの整理

明確に遺産に含まれるのは、預貯金、有価証券、母親名義の不動産や動産、保険金(受取人が母親本人)などです。一方で、名義が父親である財産(例:マンション)は原則として母親の遺産には含まれません。

ただし、夫婦共有の財産かどうかの境界線があいまいな場合もあるため、専門家による財産調査が必要になることもあります。

相続トラブルを避けるための対策

相続における不動産の取り扱いは、感情的にも複雑になりやすい分野です。遺言書の作成や夫婦間の贈与契約、財産分与契約をあらかじめ整えておくことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

また、弁護士や司法書士といった専門家に相談することで、法的に有効な対処が可能になります。

具体例:共有財産が主張されたケース

東京都在住のある夫婦では、マンションの名義は夫であったものの、購入時の頭金は妻の退職金から支払われていました。この事実が明らかになったことで、妻の死後、その頭金に相当する割合が妻の遺産として認定された事例があります。

このように、「誰が出資したか」「どのように暮らしていたか」という生活実態も判断材料となります。

まとめ:不動産相続では名義と実態の両面が鍵

分譲マンションが母親の遺産に該当するかどうかは、登記名義だけでなく、その取得・使用実態に基づいて判断されます。基本的には父親名義のマンションは母親の遺産とはなりませんが、状況次第では一部が遺産として扱われる可能性もあります。

相続の場面では、冷静な判断と専門家への相談が何より重要です。ご家族で話し合いの場を持ち、必要であれば法テラスや弁護士への相談も検討しましょう。

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