近年、SNSやフリマアプリを通じたチケット取引で詐欺やトラブルが急増しています。中でも「お金は払っていないのに詐欺だと責められた」という事例は、判断が難しく不安になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、実際にお金を支払っていないチケット取引において、法的に詐欺罪が成立するかどうか、そして相手からの脅しのような連絡にどう対応すべきかを解説します。
詐欺罪の基本的な構成要件
詐欺罪(刑法246条)が成立するには、「人を欺いて財物(お金や物)を交付させること」が必要です。つまり、被害者側から金銭や物が実際に移転されていない場合、基本的に詐欺罪は成立しません。
そのため、「やりとりだけをしていて、最終的にお金を払わなかった」場合や「支払いを断った」場合、詐欺未遂にも該当しないケースが大多数です。
「返金不可・前払い」だけで警戒すべき理由
詐欺の手口でよくあるのが「前払いのみ」「銀行振込のみ」といった要求です。中には、ライブ開始直前のような焦らせるタイミングで現れるものもあり、冷静な判断力を奪う手法が取られます。
このような条件でやりとりをしていても、振込や支払いが実行されていなければ、被害者側にも加害者側にも詐欺罪は基本的に成立しません。
「弁護士・警察に相談した」という連絡が来たら
一部の詐欺師は、取引が成立しなかった相手に対しても「他の人を断ったのに」などと一方的な責任を押し付け、さらに「弁護士と警察に相談している」といった文言で精神的に圧力をかけてきます。
このような連絡が来た際は、以下の対応をとるのが安全です。
- 相手のメッセージをすべて保存(スクリーンショット推奨)
- 個人情報を一切渡さない
- 返信せず無視またはブロック
- 不安であれば警察相談専用窓口(#9110)または弁護士に相談
このようなメッセージは詐欺師が使う常套手段
詐欺グループは「弁護士」「警察」「法的措置」という言葉を多用しますが、それ自体が脅しの一環であり、本当に法的対応をとるケースは極めて稀です。
特に支払いが発生しておらず、相手の言動に違法性があると感じた場合は、逆に名誉毀損や脅迫などで相談対象になるのは相手側となる可能性もあります。
実例:X(旧Twitter)でのライブチケット取引トラブル
「直前にチケットが余った」として投稿された書き込みに反応したユーザーが、銀行振込を要求されたが断ったケースでは、その後しばらくして「他の購入希望者を断ったのに」「弁護士がついた」といった主張が届いたという報告があります。
このような状況では一貫して無視し、支払い履歴がなければ法的責任を問われる可能性はまずありません。
まとめ:支払いがなければ詐欺罪は基本的に成立しない
取引が完了していない、つまり代金を支払っていない状態であれば、詐欺罪はほとんどのケースで成立しません。また、支払っていない相手を詐欺だと主張する人物が詐欺師である可能性も高いため、冷静に対応することが大切です。
不安な場合は証拠を保存したうえで警察や弁護士に相談し、自分が加害者になるリスクを回避しましょう。