軽微な接触事故でも、相手が車で逃走した場合、被害者としてどう対応すべきか迷う方は多いです。「レントゲン代くらい自分で出せばいいのか」「事件にした方がよいのか」など、悩ましい判断が求められます。本記事では、歩行者と車の接触事故で相手が逃走した場合の選択肢や損害賠償請求の方法、相手に個人情報が渡るリスクとその対策まで、丁寧に解説します。
逃走した加害者に対してできる法的対応とは
まず大前提として、車の運転者が事故を起こしてその場から逃げた場合は「ひき逃げ」に該当する可能性があり、刑事罰の対象になります。たとえ接触が軽微であっても、逃走行為がある場合は警察に通報しておくことが重要です。
被害者は「人身事故」として警察に届け出ることができます。これにより、事故の記録が正式に残り、相手の追跡や保険会社への請求にも必要な書類が整います。
レントゲン代などの治療費は請求できる？
軽い打撲や擦り傷などでも、医療費は被害者にとって無視できない負担です。通常は加害者の自賠責保険や任意保険から補償されるべき費用ですが、加害者が逃げている場合は自賠責の直接請求制度（参考：自賠責保険・共済紛争処理機構）を利用できます。
これにより、加害者と接触できなくても、必要書類を提出すれば最低限の治療費を請求可能です。医師の診断書や診療明細、事故証明書が必要となります。
加害者に個人情報が知られるリスクと対処法
刑事・民事いずれにしても、基本的に被害者の個人情報が加害者に積極的に開示されることはありません。警察や保険会社が中立的な立場で手続きするため、加害者に「住所」「電話番号」が伝わることは極めて限定的です。
ただし、民事訴訟などの段階になると、書面上である程度の情報が共有されることがあります。不安な場合は弁護士を通じて請求することで、安全を確保することもできます。
事件化するか、自費負担で済ますかの判断基準
警察への届け出には一定の時間と労力がかかりますが、将来的な体調変化や後遺症が出た場合、記録が残っていないと補償を受けるのが困難になるリスクがあります。
一方で、もし痛みもなく数日で治る軽微な怪我であれば、「レントゲン代だけなら自費で」と判断するのも個人の自由です。大切なのは、後から後悔しないように、証拠と記録をきちんと残しておくことです。
まとめ：軽い接触でも「逃げた」なら対応は慎重に
歩行者と車の接触事故で相手が逃走した場合、たとえ怪我が軽くても事件として届け出る意義はあります。レントゲン代などの補償を受けたい場合は、記録や証明書類の保全が鍵になります。
「相手に情報が知られるのが怖い」という懸念があっても、警察や保険会社は慎重に取り扱うため、過度な心配は不要です。自分の安全と今後の生活を守るためにも、冷静に行動し、必要なら法的手段を選びましょう。