交通事故後、物損事故として処理されたものが、後になって人身事故として扱われるケースは決して珍しくありません。この記事では、物損事故から人身事故への切り替えがもたらす影響、裁判や行政処分の可能性、対応方法について詳しく解説します。
物損事故と人身事故の違いとは?
物損事故は車や物だけが壊れたケースで、人がケガをしていない事故を指します。人身事故は、負傷者がいる場合や後から症状が出て診断書が提出された場合に切り替わります。
事故発生当初は物損として処理されても、後から被害者が医師の診断書を提出すれば、人身事故に切り替えることが可能です。これは法律上の権利であり、加害者が拒否することはできません。
物損から人身に切り替わると行政処分はある?
人身事故に切り替わった場合、加害者には行政処分が課される可能性があります。主に以下のような影響があります。
- 違反点数の加算:追突事故などで過失割合が9対1の場合、2点~6点の加点が一般的
- 免許停止または取消の可能性:すでに違反歴がある人は免停になることも
- 反則金ではなく罰金刑の対象になることも
たとえば軽度のむち打ち症でも、診断書が出されれば1点~3点が加算される可能性があります。
保険会社が相手取られる裁判とは?
被害者が損害賠償金に納得できない場合、保険会社を相手に訴訟を起こすことがあります。このような裁判は「直接請求権」を行使するもので、加害者本人が訴えられるわけではないケースも多いです。
ただし、被害者が加害者の責任も追及する場合、加害者も当事者として訴訟に巻き込まれる可能性があります。保険でカバーされない慰謝料などが争点になることもあるため、詳細は保険会社や弁護士と連携することが重要です。
事故から2年以上経過している場合の注意点
交通事故の損害賠償請求には時効があります。物損は3年、人身事故は原則として5年です(2020年の民法改正以降)。
今回のように2年が経過している状況でも、人身に切り替えられれば、5年のカウントが有効となり、裁判提起も可能になります。
行政処分が来るかどうかの判断材料
行政処分が課されるかどうかは、主に以下の3点が基準となります。
- 人身事故として正式に警察で処理されたか
- 医師の診断書が提出されているか
- 被害者が後遺障害等級の申請をしているか
警察からの連絡が来た場合は、放置せず速やかに対応し、必要なら弁護士への相談も視野に入れましょう。
まとめ:まずは冷静に情報収集と専門家への相談を
物損から人身に切り替えられることで、行政処分の可能性が出てくることはありますが、すぐに免許停止や訴訟に発展するとは限りません。冷静に状況を把握し、保険会社と連携して対応を進めることが重要です。
もし警察や弁護士から正式な連絡があった場合は、必ず記録を取り、今後のために準備しておくと安心です。