元交際相手に対して、精神的苦痛に関する謝罪を求める内容証明を送ろうと考えている方は少なくありません。しかし、その行為が名誉毀損やストーカー規制法に抵触する可能性があるのかどうか、不安になる方も多いでしょう。この記事では、内容証明郵便の性質、法的リスク、そして安全に意思を伝えるための方法について詳しく解説します。
内容証明とは:法的効力と使い方
内容証明郵便とは、差出人が相手にどのような内容を送付したかを日本郵便と第三者が証明する手段です。主に金銭の請求や通知、トラブルの証拠として利用されます。
法的拘束力そのものはありませんが、後の裁判や交渉時に「この内容で通知した」という事実証明として役立ちます。
名誉毀損との関係:どこからが違法?
名誉毀損は、刑法230条に定められた犯罪で、他人の社会的評価を下げる事実を不特定または多数人に伝えた場合に成立します。ただし、真実性があり公益性も認められれば、違法性は阻却されます(刑法230条の2)。
内容証明は基本的に「相手個人に対して送る文書」であるため、不特定多数には該当せず名誉毀損になりにくいと考えられます。しかし、実家宛てに送った場合、同居家族が開封・閲覧する可能性があり、この場合は第三者への公開となってしまうリスクがあります。
ストーカー規制法との関係:繰り返しがカギ
ストーカー規制法では、繰り返しの接触や文書送付が「つきまとい行為」とされる可能性があります。ただし、一度きりの内容証明であれば、通常はストーカーには該当しません。
ただし、相手が「拒絶の意思を明確に示した後」に複数回通知するような行為は、ストーカー規制法や民事上の人格権侵害になる可能性もあるため要注意です。
精神的苦痛や性被害に関する主張はどう書くべきか
人格否定や性被害など、センシティブな内容は誤解されやすいため、慎重に記載すべきです。例えば、冷静かつ客観的な言葉で次のように表現しましょう。
「私は交際中の言動により深く傷つき、現在も医療機関に通院しています。あなたに謝罪の意思があるかどうか、確認したく本書面をお送りします」
このように記載することで、感情的にならず、ストーカーや名誉毀損とみなされるリスクを減らせます。
法的トラブルを避けるために弁護士相談を活用しよう
少しでもリスクを感じるなら、弁護士ドットコムや法テラスなどで無料法律相談を受けるのがおすすめです。内容証明の文面作成を依頼すれば、法的リスクを抑えた形で送ることができます。
特に、性暴力が関係する場合には民事訴訟や慰謝料請求も視野に入るため、文面一つで今後の展開が大きく変わる可能性があります。
まとめ:感情よりも冷静に、適切な手段を選ぼう
内容証明は有効な意思表示の手段ですが、その送付方法や文面には慎重さが求められます。実家宛てに送る場合は開封リスクがあり、名誉毀損の可能性もゼロではありません。また、繰り返し送付すればストーカー規制法の適用対象になるおそれもあります。
大切なのは、自分の主張を冷静に、かつ法に則って伝えることです。一人で抱え込まず、法の専門家に相談することで、より安全で効果的な対応が可能になります。