交通事故の被害者になった場合、最も気になるのが「慰謝料」の金額や計算方法ではないでしょうか。特に通院日数や期間によって変動する自賠責保険の慰謝料と、弁護士に依頼した場合の「弁護士基準(裁判基準)」の違いは、損得にも大きく関わります。この記事では、基本的な仕組みを分かりやすく解説します。
自賠責保険における慰謝料の計算方法
自賠責保険で支払われる慰謝料は、1日あたり4,300円(2024年現在)で、以下のいずれか少ない日数が基準になります。
- 実通院日数 × 2
- 治療期間の日数(事故日〜治療終了日)
たとえば、事故日が2月6日で治療終了が8月31日までなら、おおよそ206日間の治療期間です。一方、通院回数が75回であれば、75 × 2 = 150となり、慰謝料の計算には150日分が採用されます。
したがって、慰謝料額は「4,300円 × 150日 = 645,000円」となります。
通院日数を水増ししても増額にはならない
通院した日数が少ないにもかかわらず、期間が長い場合は治療期間日数が採用されることもありますが、原則として「実通院日数×2」が少なければその数字が優先されます。
つまり、単純に長く通えば慰謝料が増えるというわけではありません。実際の治療の必要性と合理性が求められます。
弁護士に依頼した場合の「弁護士基準」とは?
自賠責保険はあくまでも「最低限の補償」であり、慰謝料の金額は相場より低いです。これに対し、弁護士に依頼して損害賠償請求をすると「弁護士基準」または「裁判基準」に基づいて計算されます。
たとえば、通院6か月(実質的な通院頻度にもよります)であれば、弁護士基準では80万〜100万円程度の慰謝料が請求できるケースもあります。自賠責と比較して2〜3割以上増額されることが一般的です。
弁護士費用特約があるなら相談を
自分や家族の自動車保険に「弁護士費用特約」がついていれば、弁護士への相談費用・訴訟費用などが保険会社から全額負担されます。
そのため、費用面での負担を気にせずに弁護士に依頼することができ、慰謝料の増額を目指せる大きなメリットがあります。
慰謝料の増額交渉はプロに任せるのが安心
保険会社との交渉は一般の方にとっては難しく、特に弁護士基準を持ち出すと渋られることも多いです。そのため、経験豊富な交通事故専門の弁護士に依頼することで、精神的にも経済的にも有利に進められます。
法テラスなどで無料相談を活用して、最初の一歩を踏み出すのもおすすめです。
まとめ:自賠責だけで終わらせず、弁護士基準も検討を
自賠責保険での慰謝料計算は「実通院日数×2」と「治療期間」のうち少ない方が採用され、1日あたり4,300円で計算されます。しかし、慰謝料の金額を増額したい場合には、弁護士基準による交渉が大きな助けになります。
交通事故に遭ったら、正しい情報と専門家の支援をもとに、自身の権利を最大限守っていくことが大切です。