交通事故を起こしたあと、警察の捜査に協力する中で、突然「配偶者の勤務先と電話番号を教えてください」と求められることがあります。事故処理には誠実に対応しているにもかかわらず、なぜ配偶者の勤務先まで必要なのか、不安や疑問を抱く人も少なくありません。この記事では、そのような場面での適切な対応や法的な考え方についてわかりやすく解説します。
警察が配偶者の勤務先を尋ねる主な理由
警察が配偶者の勤務先を聞いてくるケースにはいくつかのパターンがあります。主な目的は以下の通りです。
- 身元の信用確認：被疑者（事故当事者）の生活実態や身元を補強する材料として。
- 連絡先確保：事故当事者と連絡が取れなくなった場合に備えた連絡先として。
- 事情聴取の補足：事故の背景や生活状況を把握する必要があると判断された場合。
これらは、事故が重大なものであった場合や、調書作成時の補足資料として用いられることがあります。ただし、すべての事故で必須というわけではありません。
法的に提供する義務はあるのか？
配偶者の勤務先情報について、法的に提出義務はありません。刑事訴訟法や道路交通法においても、家族の勤務先まで明かすことを義務付ける規定は存在しません。
つまり、「任意」での提供となるため、拒否することも可能です。警察が要請してきたとしても、「必要性を感じないため回答は控えさせていただきます」と伝えるだけで問題ありません。
提供を控えることで不利になることはあるか？
結論として、配偶者の会社情報を伝えなかったことで刑事処分や事故処理に悪影響が出ることは通常ありません。ただし、事件性が強い事故（ひき逃げや重過失致傷など）では、より詳細な身元調査が行われる可能性があります。
しかしそれでも、配偶者の勤務先を提供することが義務となるわけではなく、拒否によって不利に扱われることは原則としてありません。
プライバシー保護の観点からの注意点
近年では個人情報保護への関心が高まっており、家族や第三者の情報をむやみに提供することは慎重になるべきです。特に職場の情報は、相手先に迷惑をかける可能性もあるため、本人の同意なしに提供すべきではありません。
もしも警察から再三の要請があった場合には、「家族に確認してからお答えします」と一時保留するのも適切な対応です。
警察対応時の一般的なアドバイス
事故の事情聴取では、以下のようなポイントを押さえておくとスムーズに対応できます。
- 基本情報（氏名、住所、連絡先など）には正確に答える
- 不明確な点は曖昧にせず「確認して連絡します」と答える
- 第三者（家族や会社）の情報は原則として本人の同意を得たうえで提供する
特に事故当事者が誠実に対応している場合、警察もそれを評価してくれる傾向があります。
まとめ：家族の情報は慎重に取り扱うべき
警察から配偶者の勤務先を聞かれたとしても、必ずしも答える必要はなく、本人の同意がない限り提供しない方が原則として安全です。事故の処理が正しく行われていれば、追加の情報提供を拒否しても法的な問題は生じません。
不安な場合は、弁護士や法律相談窓口に相談しながら対応することで、より安心して対処できます。