知人同士の貸し借りや共同ビジネスには、感情的なもつれが生じやすく、時に法的なトラブルへと発展します。とくに店舗の譲渡や貸付金の帳消しに関する取り決めが曖昧なままだと、後から予期せぬ要求が出てくるケースもあります。本記事では、店舗譲渡後に起こりがちな「設備の所有権トラブル」と「脅迫に該当するかもしれない発言」への適切な対応について解説します。
店舗の譲渡時に注意すべき設備の所有権
店舗を買い取る際に、店内の什器や設備も含まれていた場合、通常はその時点で所有権が移転したとみなされます。ただし、譲渡契約書に「特定の設備は含まない」旨の記載がなければ、後から「これは私物だから返せ」と主張されるのは不当と考えられる可能性が高いです。
実際に起きた例として、「冷蔵庫やレジなどの備品も込みで引き渡しが完了していたにも関わらず、後日になって元オーナーがそれらの返還を求めてきた」というトラブルもあります。こうした場合、契約内容や譲渡時の会話の記録が重要な証拠となります。
口約束でも効力はある?書面がなくても認められる場合
貸付金の帳消しと引き換えに店舗を譲り受けた場合、その合意が明確であれば書面がなくても民法上の契約は成立します。ただし、トラブルを避けるためにはLINEやメール、録音などで証拠を残しておくのが望ましいです。
とくに「借金はチャラにした」「設備も含めて譲り受けた」といった重要な合意内容は、後になって言った言わないの水掛け論にならないよう記録しておきましょう。
「払わなければ100万円払え」と言われた場合の対応
相手が一方的に設備の返還や代金を要求し、さらに「払わなければ100万円払え」といった発言をしてきた場合、状況によっては脅迫や恐喝未遂に該当するおそれがあります。たとえば、「返さないなら警察に言うぞ」だけなら合法的な主張に過ぎませんが、「高額を請求してくる」「感情的な恫喝がある」場合には慎重に対応すべきです。
そのようなやり取りがあった際には、通話録音やメッセージのスクリーンショットを残し、弁護士や警察に事前に相談しておくことが推奨されます。
先に警察に相談するべきか?
相手が本当に警察に訴える可能性があるかどうかは別として、「民事と刑事のどちらに該当するのか」を判断するためにも、事前に警察や法テラスなどの無料相談窓口に話をしておくと安心です。
また、相手の言動が常習的に威圧的・攻撃的である場合は、警察に「相談実績を残す」だけでも、万が一のトラブル時に有利に働くことがあります。
今後のために備えるポイント
- 金銭の貸し借りや設備の所有権に関する取り決めは書面化する
- やり取りはできる限り記録を残す(LINE・メール・録音)
- 相手の発言が法的に問題があるか迷ったら専門家に相談
- 不当な請求には毅然とした態度で対応する
まとめ
知人とのトラブルは感情的になりやすく、法的な境界線が曖昧なまま話が進むと、後々トラブルが深刻化します。店舗譲渡や貸付金の帳消しがあったにもかかわらず、後から設備の返還や金銭請求を受けた場合には、冷静に対応しつつ、必要に応じて警察や法律の専門家に相談しておくと安心です。口約束であっても記録があれば証拠になりますので、今後の対策としても活用していきましょう。