脅迫・押しかけ被害に悩むときに知っておくべき法的対処と警察・弁護士の活用法

脅迫や嫌がらせ、押しかけ被害に遭っていても、被害者自身が「事件化できないのか」と疑問を持つことは少なくありません。特に警察から「害悪の告知がないと事件にはできない」と言われ、生活に支障をきたすような状況であっても動いてもらえないことがあります。本記事では、どのような行為が法的に問題となりうるか、また事件化が難しい場合の対応策について詳しく解説します。

「害悪の告知」とは?脅迫罪の成立要件

刑法第222条に規定される脅迫罪では、「害悪の告知」が成立要件です。これは、生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加えると示唆することを指します。たとえば、「殺す」「怪我をさせる」「職場をめちゃくちゃにする」など、具体的な危害を予告する発言が該当します。

しかし、警察が事件化に慎重になるのは、表現の曖昧さや証拠が不十分な場合です。「どうなるか分かるよね?」のような文言では、解釈に幅があるため立件が難しいと判断されることがあります。

押しかけ・職場への連絡行為は「ストーカー規制法」や「名誉毀損」に該当する可能性も

自宅に押しかけられた場合、何度も繰り返されるようであれば、ストーカー規制法(改正平成28年)の対象になる可能性があります。また、職場に電話されることで社会的評価が低下すれば、「名誉毀損罪(刑法230条)」や「信用毀損罪(刑法233条)」が成立する余地もあります。

LINEでの「給与明細を見せろ」「払え」といった発言があれば、恐喝未遂(刑法249条)や、強要罪(刑法223条)に該当する可能性もあります。

警察が動かないときの相談先と対応手段

警察が「事件化が難しい」と判断した場合でも、次のような対応が可能です。

  • 被害相談票を出して「生活安全課」に継続記録を残す
  • 「接近禁止の警告」を警察から加害者に出してもらう
  • 警察署ではなく、被害者相談窓口に連絡して事案の深刻性を訴える

また、加害者が押しかけてきた際には必ず110番をし、その記録を残すことが重要です。警察が対応する都度、対応の経緯がデータベースに残るため、後の立件につながる証拠になります。

弁護士の役割と民事での対応

弁護士を通じて内容証明郵便で接触禁止の通知を送ることも効果的です。これにより相手の行動が明確に「違法」だと通知され、以後の行為が民事・刑事の証拠としてより強く機能します。

さらに、民事では慰謝料請求損害賠償も視野に入ります。職場への連絡によって名誉を傷つけられた場合、それを証明できれば民事訴訟で賠償を求めることも可能です。

証拠の保全と記録の重要性

次のような証拠はすべて保全しておきましょう。

  • LINEやSNSでのやりとり(画面キャプチャ+バックアップ)
  • 電話の録音データ(録音アプリを使用)
  • 押しかけの日時・状況のメモ
  • 会社にかかってきた電話の履歴や録音

こうした記録は、弁護士が被害届や民事訴訟を行う際の決定的な証拠になります。

まとめ|「事件にならない」ではなく、証拠を積み重ねて動かす

警察が「害悪の告知がない」と判断しても、被害者が受けた精神的・社会的被害は決して小さくありません。刑事事件として扱われなくても、民事・行政的な対応で身を守る手段は存在します。弁護士との連携を密に取り、証拠を整え、警察にも粘り強く訴えることで、最終的には動いてもらえる可能性が高まります。

安全確保を最優先に、関係機関への相談を続けてください。万が一の際にはすぐ110番通報し、命を守る行動を最優先に取りましょう。

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