AI作品を手描きと偽って販売する行為は詐欺になるのか?消費者保護と対応策を解説

近年、生成AIの進化とともに、電子販売サイト上でAI作品が急増しています。その中には「手描き風」に仕上げたAI作品を、あたかも人が描いたかのように偽って販売するケースも見受けられ、消費者トラブルに発展する事例も出てきました。本記事では、そのようなケースが詐欺に該当するのか、消費者はどのような対応ができるのかについて解説します。

AI作品の販売は違法なのか?

まず、AIで作成された作品そのものの販売が違法というわけではありません。問題となるのは、その作品がAI生成によるものであることを意図的に隠し、手描きなどと誤認させるようにして販売している場合です。

たとえば、「手描き作品フロア」にAI生成作品を紛れ込ませる、商品説明で明示しないなど、消費者が誤認するような表示をした場合、景品表示法や民法の不法行為に該当する可能性があります。

詐欺にあたる可能性はある?

民法における「詐欺」とは、相手をだまして契約させた場合を指します。販売者がAI作品であることを認識しながら、あえてそれを隠し「手描き作品」として販売していた場合には、購入者がその事実を知っていれば購入しなかったと証明できれば、詐欺に近い行為と評価されることもあります。

ただし、実際に「詐欺罪」で立件されるにはハードルが高く、刑事事件として扱うには悪意や故意、金銭の騙取意思などの明確な立証が必要となります。

クーリングオフは適用されるか?

電子販売サイトでのデジタルコンテンツ購入は、原則としてクーリングオフの対象外です。これは、特定商取引法が通信販売に対してクーリングオフを義務づけていないためです。

ただし、販売者が返品可能と明記している場合や、商品説明と著しく異なる内容だったときには、返品やキャンセルが可能なケースもあります。プラットフォームによっては独自の返金制度や申告フォームが用意されているため、そちらも確認しましょう。

消費者庁やプラットフォームへの相談も有効

消費者として「騙された」と感じた場合は、まず販売プラットフォームに通報しましょう。多くのサイトでは、虚偽表示や不適切な出品について通報・審査制度が設けられています。

また、消費生活センターや消費者庁に相談することで、事業者への指導や助言を受けられる場合もあります。感情的にならず、証拠となるスクリーンショットやメッセージ履歴を整理しておくとスムーズです。

今後のトラブル回避のために

AI作品と手描き作品を見分けるのは難しくなってきています。そのため、販売ページの商品説明やカテゴリをしっかりと確認し、信頼できる販売者かどうかの判断がますます重要です。

また、AI作品であることを明記しない販売者を避ける、ユーザーレビューを確認するなど、事前のチェックでトラブルを防ぐ意識も必要です。

まとめ:消費者ができることを知っておこう

AI作品を手描きと偽って販売する行為は、法的に問題となる可能性があります。ただし、すぐに詐欺と認定されるわけではないため、被害に遭ったと感じた場合は冷静に対応し、販売元や関係機関に相談することが大切です。

デジタルコンテンツの購入では、表示や説明をよく確認し、自衛の意識を持つことが何よりもトラブル防止につながります。

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