交通事故で仕事を休まざるを得なかった場合、多くの人が頼りにするのが「人身傷害保険特約」です。しかし、自営業者や専業主婦の場合、「休業損害が出ない」と保険会社に言われるケースがあります。果たしてこれは正しいのでしょうか?本記事では、休業損害の仕組みと、自営業・主婦が補償を受けるためのポイントを詳しく解説します。
人身傷害保険特約とは何か?
人身傷害保険特約とは、自動車保険の一種で、事故によって被ったケガや死亡に対して、実際にかかった費用や損害を補償してくれるものです。被害者側の過失があっても全額補償されるのが特徴です。
この特約には「治療費」や「通院交通費」だけでなく、「休業損害」や「逸失利益」も補償対象に含まれています。
休業損害とは?
休業損害とは、事故により働けなかった期間の収入減を補填するものです。会社員であれば給与明細などで収入が証明できるため、比較的スムーズに補償されます。
問題は、自営業者や専業主婦といった給与所得者以外のケースです。ここでは実態と証明力が大きなポイントになります。
自営業者の休業損害が否認されるケースと対策
自営業者が休業損害を請求する場合、前年の確定申告書や帳簿が主な証拠になります。しかし、帳簿が不備だったり、売上の減少が事故によるものと明確に関連づけられないと、保険会社は「損害なし」と判断することがあります。
対策としては、事故後の営業活動の停止状況や、顧客キャンセルの記録、医師による就労制限証明書などを揃えることが重要です。
専業主婦の休業損害が認められる根拠
専業主婦についても、家事従事者としての「家事労働」が経済的価値を持つとされ、休業損害が認められるのが一般的です。実務上は日額7,100円(2024年現在)が基準となります。
ただし、「事故で家事ができなかったこと」を医師の診断書などで裏付ける必要があります。家事への支障がないと判断されると、補償は認められないことがあります。
弁護士に相談した方が良いケースとは?
保険会社に休業損害を否認された場合でも、弁護士を通じて再交渉すれば認められる例は多数あります。特に自営業者や主婦は、証明が難しいため、弁護士が証拠の収集や主張をサポートすることで認定率が上がる傾向にあります。
また、弁護士費用特約が付いていれば、費用負担なく相談・依頼できるため活用しましょう。
まとめ:泣き寝入りしないためにできること
人身傷害保険特約における休業損害は、自営業者・主婦であっても十分に補償対象となります。ただし、「証明」が鍵を握っているため、適切な書類や診断書の準備が不可欠です。
保険会社から「出せない」と言われた場合でも、それが正当とは限りません。弁護士など専門家に相談し、正当な権利を主張することが大切です。