公判前整理手続において一度は証拠調べ請求されている証拠⑩を、弁護人が改めて取調べ請求できる根拠と意義について整理した記事です。
公判前整理手続とは何か
公判前整理手続は、訴訟前に争点と証拠を整理し、審理計画を立てて裁判を効率化する制度です。
検察官は証明予定事実と併せて、証拠調べ請求を提出し、弁護人にも開示されます:contentReference[oaicite:0]{index=0}。
設問4が問うた論点の整理
設問4では、弁護人が証拠⑩を公判前整理時には請求せず、公判期日後に改めて請求した理由について論じています。
第2回公判期日で証人尋問により証言と矛盾が生じたため、信用性を弾劾する必要が出たと考えられ、弁護側には「やむを得ない事由」が成立すると判断された例です:contentReference[oaicite:1]{index=1}。
「やむを得ない事由」による例外の適用
刑訴法316条の32第1項により、公判前整理手続後の請求は禁止されていますが、「やむを得ない事由」がある場合には例外的に請求が可能です。
例えば証拠の存在が当時不明だった、物理的に手続が難しかった、請求が不要と判断できた場合などが該当します:contentReference[oaicite:2]{index=2}。
裁判所にとっての意味と受験生への示唆
この制度は裁判の公平性・効率性を両立させるため、当事者双方が争点を明確化しつつ柔軟に対応できる仕組みです。
受験では、「いつ請求できるか」「やむを得ない事由とは何か」を具体的に理解して答案に盛り込むことが重要です:contentReference[oaicite:3]{index=3}。
具体的実例:設問4のケース
弁護人は当初、証拠⑩の請求必要がなかったと判断していました。
しかし証人尋問の結果、被告の証言が変更され、証拠⑩の供述内容と矛盾したため、信用性の弾劾として改めて請求したのです:contentReference[oaicite:4]{index=4}。
まとめ
公判前整理手続終了後でも、「やむを得ない事由」があれば証拠調べ請求が可能です。
設問4はこの点を問う好例であり、答案でも「制度趣旨」「条文根拠」「具体事例」を整理して書くことで高評価が得られます。