モーターの銘板を改ざんすると違法?工業製品の偽装表示に関する法的リスクと相談窓口

製造や輸出の現場では、モーターなどの電気部品に取り付けられている銘板(定格シール)に細工をする事例が稀にあります。しかし、これは単なる内部対応では済まされず、法的リスクや企業倫理上の重大な問題をはらんでいます。本記事では、モーター銘板の改ざんに関する法的な問題と、発覚した場合の相談先などについて詳しく解説します。

モーターの銘板とは?その役割と重要性

銘板(ネームプレート)は、モーターや機械装置の仕様情報を明確に示すための表示板で、定格電圧・出力・電流・周波数・製造番号・メーカー名などが記載されています。この情報は、安全な使用、メンテナンス、トラブル時の対応などに不可欠です。

例えば、「3相200V 400W」と表示されているモーターに、「600W」と改ざんされた銘板が貼られていれば、過剰な負荷がかかって機器や設備に損傷を与える恐れがあります。また、安全基準を満たさないまま輸出された場合、輸出先国での規制違反にもつながります。

銘板の貼り替えは法律違反にあたるのか?

モーターの出力を偽って銘板を貼り替える行為は、法的に見て重大な問題となる可能性があります。以下のような法律違反が該当し得ます。

  • 不正競争防止法違反:他社のロゴや商標を無断使用する行為は、不正競争行為に該当します。
  • 優良誤認表示(景品表示法):性能を実際以上に優れているように表示する行為は、消費者に誤認を与える「優良誤認」に該当します。
  • 詐欺罪(刑法):性能を偽って販売・輸出した場合、契約者を欺いて利益を得たとみなされ、詐欺罪に問われる可能性があります。

これらはいずれも、行政指導や刑事責任を招く重大な法的リスクを伴います。

具体的な事例:出力偽装の実態と影響

ある製造業では、400Wのモーターを600Wと偽って海外に出荷するため、銘板を自作し貼り替えるという行為が行われていたとの証言があります。これは「つじつまを合わせる」ために電流値なども変更されていたとのことで、非常に悪質です。

このような偽装は、モーターが実際の仕様を満たしていないため、納入先の工場で焼損事故を起こすリスクがあるほか、法令違反によって企業の信頼を一気に失うことにもつながります。

内部告発や相談はどこにすべきか?

このような偽装行為に気づいた場合、まずは証拠を整理したうえで適切な機関に相談することが重要です。以下のような窓口があります。

また、証拠として銘板の写真や文書、関係者の発言記録などを保存しておくと、通報時の信頼性が高まります。

企業のコンプライアンス体制が問われる時代

今日では、製造業におけるコンプライアンス(法令遵守)が非常に重視されています。製品の性能や仕様の偽装は、企業の信頼失墜・訴訟リスク・取引停止など深刻な事態に直結します。

社内で不正を見かけた場合、それを放置することは共犯とみなされる可能性もあります。勇気をもって適切な機関へ通報することは、製造現場の健全化につながります。

まとめ:銘板の改ざんは違法かつ危険な行為

モーターの銘板を偽装する行為は、単なる社内の効率化ではなく、法令違反かつ製品の安全性を損なう重大な問題です。もしそのような行為に気づいたら、早めに適切な相談窓口に通報し、証拠を確保することが重要です。

企業としても、不正の温床をなくす内部統制の強化と、従業員が安心して通報できる環境づくりが求められています。

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