AV(アダルトビデオ)に出演する女優が、痴漢や盗撮といった迷惑行為に対して法的措置を求めることは矛盾していると思われがちですが、実際にはそうではありません。この記事では、AV出演と迷惑防止条例の適用について、法律の観点からわかりやすく解説します。
AV出演とプライベートの人格権は別物
AV出演は契約に基づいて行われ、演技としての性的表現がなされるものであり、出演者が自らの意思で参加しています。しかし、それは私生活における人格権の放棄を意味するものではありません。
たとえば、映画俳優がスクリーン上で暴力的なシーンを演じたからといって、私生活で暴力を受け入れるべきだということにはなりません。AV女優も同様に、プライベートにおける痴漢や盗撮といった行為は、正当な理由のない人格権の侵害として、当然に保護される対象です。
迷惑防止条例の適用は職業と無関係
迷惑防止条例は、痴漢や盗撮、つきまといなどの迷惑行為を取り締まるための法律で、対象者の職業や活動内容に関係なく適用されます。つまり、AV女優であっても、通勤途中に痴漢された場合などには、条例に基づいて被害者として扱われます。
この条例は「誰に対して行われたか」ではなく、「どのような行為が行われたか」に基づいて判断されるため、社会的な偏見で適用を左右することはありません。
AV業界と法的整合性:AVの合法性とは
日本におけるAV制作は、一定のルールに従い、成人であることを確認し、契約と同意のもとに行われる限り、違法ではありません。むしろ、性表現の自由の一環として、表現活動の一形態として認められています。
一方で、違法な撮影(出演者の同意のない撮影や未成年の出演など)は、児童ポルノ禁止法や刑法などによって厳しく取り締まられます。合法かどうかは、その撮影や公開が適切な手続きと法律を守っているかどうかにかかっています。
社会的偏見と差別の問題
AV女優や性的表現に関わる職業に対しては、根強い偏見や誤解があります。「AVに出ているのだから、何をされても仕方がない」といった考え方は、明確な人権侵害です。
このような偏見は、本人の自由意思を無視し、差別的な視線を助長します。現代社会において、性に関する表現や職業選択の自由は尊重されるべきであり、差別的な取り扱いを正当化する根拠にはなりません。
迷惑行為は「同意のない」行為である
AVの撮影では、全ての行為が事前に同意され、演出として行われます。対して、痴漢や盗撮は、相手の意思に反して突然行われる行為です。
この「同意の有無」は、法律において最も重要なポイントです。たとえば、路上で勝手に撮影された場合、それがAV女優であっても違法となるのは、「本人の同意がない」ためです。
まとめ:法的保護はすべての人に平等に与えられる
AV出演は合法的な職業活動であり、出演者が公私にわたって常に性的対象として扱われる理由にはなりません。迷惑防止条例や刑法は、すべての市民の権利を平等に守るために存在しており、その職業に関係なく適用されます。
どのような職業に就いていても、個人の権利と尊厳は守られるべきです。法律もその立場を明確に支持しており、社会全体としてもその理解を深めていく必要があります。