迷惑電話への大量折り返しは違法?知らずにやりがちなリスクと対処法

迷惑電話を受けたとき、多くの人が怒りや不安を覚え、時には逆に折り返しをして対抗したくなることもあるでしょう。しかし、感情的な対応が思わぬ法的リスクを招く可能性があることをご存知でしょうか?本記事では、迷惑電話への大量折電が自分にとってどんな不利益を生むのか、法律的・実務的な観点から解説します。

迷惑電話に大量折り返しする行為の法的リスク

まず知っておきたいのは、相手が迷惑電話をかけてきたとしても、その相手に何度も電話をかけ返す行為が「正当防衛」にはならないという点です。

刑法上、「業務妨害罪」や「迷惑防止条例違反」に該当するおそれがあります。特に、相手が会社や業者である場合、営業時間外に50回以上着信を入れれば、業務に支障をきたす「威力業務妨害罪」(刑法第234条)で告訴されるリスクもあるのです。

実際に起こった類似のトラブル事例

ある40代男性が、知らない番号からの執拗な着信に対抗するため、2日間で80回以上折り返し電話を行った結果、相手側から「ストーカーまがいの嫌がらせ行為」として警察に通報され、事情聴取を受ける事態に発展したケースがあります。

たとえ相手に落ち度があっても、過剰な反応は「報復的行為」とみなされ、逆に不利な立場に立たされることがあります。

発信者番号が本物とは限らない:なりすまし電話のリスク

現在では、技術的に「発信番号を偽装」することが可能になっています。これを「スプーフィング」と呼び、本来無関係の番号を装って発信されるため、見慣れた番号だからといって安心はできません。

そのため、相手番号が通知されていても、その実体が不明なまま大量の折電を行うと、関係のない第三者に迷惑をかけてしまう危険性もあるのです。

正しい対処法:冷静に証拠を残し、しかるべき機関に相談

感情に任せて折り返し続ける前に、次のような対応をおすすめします。

精神的ダメージを受けた場合は民事対応も

相手からの電話内容によっては、民事上の「不法行為」として慰謝料請求が可能な場合もあります。ただし、これには証拠の保存が不可欠です。録音アプリや着信記録を残しておくことで、後々のトラブル解決に役立ちます。

一方で、自分が相手に過剰な連絡を入れた場合、逆に「精神的苦痛を与えた」として慰謝料を請求されるケースもあり得ます。

まとめ:感情的な対抗よりも、冷静な証拠と専門機関の活用を

迷惑電話への怒りや恐怖はよく理解できますが、大量に折り返すことで自分が加害者とみなされるリスクは現実に存在します。冷静に対応し、専門機関に相談することが最善の道です。

無視するのが最も安全なケースもありますので、状況に応じた判断が求められます。繰り返しになりますが、法的トラブルに発展しないためにも「やり返す」行動は慎重に。

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