交通事故で命を落とした場合の医療費は誰が払う?生死によって変わる費用負担の仕組みを解説

交通事故は誰にとっても突然訪れる可能性があるものです。その際に救急搬送や入院、手術などが発生すると医療費がかかりますが、もし被害者が治療中に亡くなってしまった場合、その費用はどうなるのでしょうか?生存時と死亡時の違い、保険との関係などを含めて詳しく解説します。

救急搬送や治療にかかる医療費は基本的に自己負担

交通事故に遭った場合、まず発生するのが救急搬送費や初期治療費です。日本では救急車自体は無料ですが、搬送先の病院での診療や検査、手術などには費用がかかります。これは被害者が生きている・亡くなっているにかかわらず発生します。

事故の相手(加害者)が100%悪い(過失割合10:0)場合、自賠責保険や任意保険を通じて、基本的に加害者側がその費用を負担することになります。

亡くなった場合の医療費はどうなる?

被害者が病院で亡くなった場合でも、それまでの治療費(診察、救急処置、投薬、検査、手術など)は当然ながら請求されます。これらは亡くなった人の相続人に請求される形になりますが、実際には加害者の自賠責保険または任意保険から支払われるのが通常です。

ただし、相続放棄がされていない場合には、病院側が相続人に請求することもありえます。万が一、保険会社と連絡が取れない場合などは、支払い義務が一時的に相続人側に回る可能性もあるため注意が必要です。

自賠責保険で支払われる金額の上限は?

自賠責保険では、死亡事故の場合、次のような支払い上限が設けられています。

  • 葬儀費用:上限60万円
  • 逸失利益・慰謝料等を含む支払総額:上限3000万円

この中には、事故後に亡くなるまでの間に発生した治療費や通院費、入院費なども含まれます。つまり、亡くなる前の医療費は、死亡補償としてまとめて請求できる枠の中に組み込まれます。

死亡していなければ医療費+慰謝料が別枠で支払われる

一方で、被害者が命を取り留めた場合は、自賠責の範囲で最大120万円までの支払いが受けられます(傷害の限度額)。この中には治療費、交通費、休業損害、慰謝料が含まれます。

たとえば通院が続き、高額な検査や治療が行われた場合には、この120万円を超えることもあります。その場合には、任意保険での対応が可能かどうかも検討する必要があります。

保険会社が支払うので原則として自己負担はない

交通事故の被害に遭った場合、加害者が自賠責保険や任意保険に加入していれば、病院側へ直接保険会社が支払いをする一括対応が行われるのが一般的です。よって、通常は本人や遺族が医療費を負担することはありません。

ただし、事故の当事者が無保険だった場合や、支払いが遅延した場合には、一時的に請求書が手元に届くこともあります。その際は保険会社への連絡を速やかに行い、支払いの確認を依頼しましょう。

まとめ:死亡しても医療費は発生し、保険で賄われるのが基本

交通事故で亡くなった場合でも、それまでにかかった医療費はしっかり発生し、原則として加害者側の保険(自賠責・任意保険)から支払われます。遺族が直接負担することは基本的にありませんが、契約の内容や手続きの不備によっては一時的に請求されることもあるため注意が必要です。

被害者本人または遺族としては、必要以上に負担を抱え込まず、医療機関や保険会社と密に連携を取り、わからないことがあれば専門家(弁護士や交通事故相談窓口)に相談することをおすすめします。

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