高齢の親が所有していた車を本人の意思で第三者に売却してしまった――特に車検切れで書類も交わしていないという場合、家族としては「これで大丈夫なのか」と不安になることでしょう。本記事では、こうした状況のリスクや確認すべき点、万が一トラブルが起きた場合の対応策について詳しく解説します。
車検切れの車は売れる?法的にはどうか
車検切れの車であっても、法的には売却すること自体は可能です。ただし、運行(道路を走らせること)は違法になるため、レッカーなどを使って運搬する必要があります。また、車検が切れているということは、長期間放置されている可能性も高く、状態の確認や名義変更がより慎重に行われるべきです。
つまり「売る」こと自体に問題はないものの、所有権や登録に関する手続きがきちんとなされなければ、後々トラブルに発展するリスクがあります。
書類なしの売買がもたらすリスク
自動車の売買において、必須となる書類には以下があります。
- 車検証
- 譲渡証明書
- 印鑑証明書
- 委任状(代理人が手続きする場合)
これらの書類を取り交わさずに口約束だけで車を渡してしまうと、名義変更がされないまま運行された場合、元の所有者に責任が及ぶ可能性があります。
たとえば、その車が事故や違法行為に使用された場合、「名義上の所有者」であるお母様に警察からの連絡が入ることも十分にあり得ます。
よくある詐欺や悪質業者の手口
「外国人に突然声をかけられて車を売った」「書類は何も書いていない」などのケースは、実際に悪質業者や車両転売業者が行っていることがあります。彼らは手間のかかる名義変更をしないまま車を複数人に転売することもあり、責任の所在が不明確になる場合も。
特に高齢者が一人暮らしの場合、こうした業者のターゲットにされやすいため、家族が定期的に状況を確認することが非常に重要です。
すぐにできる確認・対応方法
まず、お母様が売却した軽自動車のナンバーと車体番号を確認してください。これがわかれば、陸運局(軽自動車は軽自動車検査協会)にて「登録情報照会」を行うことができます。
名義変更がなされていない場合は、次のような対応が考えられます。
- 売却の取り消し・返却交渉
- 警察や消費生活センターに相談
- 行政書士や弁護士を通じた法的手続き
また、必要に応じて売買契約の有無、相手の身元確認ができる情報(連絡先、身分証など)を集めましょう。
家族が気をつけるべき再発防止策
今回のようなケースを防ぐためには、以下のような対策が有効です。
- 所有している車の現状と手続きを家族で共有する
- 不要な車は早めに廃車・売却手続きを済ませる
- 高齢者が一人暮らしの場合、定期的な様子見や声かけをする
また、不要車の売却は信頼できる業者(ディーラー、買取専門店、行政書士経由)に依頼し、必ず書類のやり取りを行うよう促しましょう。
まとめ:車の売買は書類と名義変更が命
車の売却において、書類を交わさないまま他人に渡すのは非常に危険な行為です。たとえ車検が切れていて価値がなかったとしても、名義が変更されていなければ法的責任は元所有者に及ぶ可能性があります。
今回のように高齢の親御さんが軽い気持ちで車を手放してしまった場合でも、迅速に状況を確認し、必要な対策を講じることでトラブルを最小限に抑えることができます。少しでも不安を感じたら、消費者庁や警察相談ダイヤルなどの公的機関に相談しましょう。