飲み会の場などでトラブルが発生し、思わぬケガを負ってしまった経験は意外と多くあります。中でも、酔った知人に噛まれるというケースは珍しくありませんが、痛みや痕が残った場合、法的な対処として慰謝料の請求ができるのか気になるところです。本記事では、民事責任・刑事責任・証拠の取り扱いまで含めて、噛まれた際の対応方法をわかりやすく解説します。
噛まれた行為は法的に「不法行為」に該当する
誰かに噛まれた場合、それが酔っていたとはいえ民法709条の不法行為に該当する可能性があります。不法行為とは、故意または過失によって他人に損害を与えた場合に賠償責任が生じるという民事上の規定です。
加害者が酒に酔っていた場合でも、責任能力があると判断されれば、慰謝料や治療費の請求が可能です。
慰謝料の相場と請求できる費目
噛まれたことによる慰謝料の相場は、傷の程度や痕の残り具合によって大きく異なりますが、一般的には数万円〜数十万円の範囲が多いです。
また、以下のような費目が請求の対象となります。
- 治療費(通院費、薬代など)
- 通院交通費
- 慰謝料(精神的苦痛)
- 後遺症が残った場合の逸失利益
刑事事件としても扱える可能性がある
噛まれたことが悪質な暴力と見なされる場合、傷害罪(刑法204条)として刑事告訴することも可能です。警察に相談すれば、加害者の事情聴取や書類送検が行われる場合があります。
刑事処分と並行して、民事訴訟で慰謝料を請求することも可能です。
証拠の確保が重要
慰謝料請求の可否や金額は、証拠の有無に左右されます。以下のような証拠を確保しましょう。
- 患部の写真(日時入り)
- 診断書
- LINEやSNSなどのやり取りのスクリーンショット
- 目撃者の証言
証拠を揃えることで、示談や法的請求の際に有利になります。
加害者との関係と示談の選択肢
加害者が知人である場合、今後の関係を考慮して示談で解決するケースも多いです。示談書を作成し、慰謝料の支払いや謝罪の内容を明記することでトラブルの再発防止にもつながります。
示談書は法的効力を持つ文書として、簡易な書式でも構いませんが、可能であれば弁護士に相談して作成することをおすすめします。
弁護士への相談を検討する場面
以下のような場合には、弁護士への相談が有効です。
- 傷の痕が残りそうな場合
- 加害者が誠意ある対応をしない
- 金銭的な補償を明確にしたい
無料相談を行っている法律事務所も多く、初期対応のアドバイスを受けるだけでも安心材料になります。
まとめ:傷跡や精神的苦痛があるなら泣き寝入りせず対処を
酔った相手に噛まれた場合でも、それが故意・過失である限り、慰謝料や治療費の請求は可能です。証拠を確保し、必要に応じて警察や弁護士と連携しながら、自分の身を守る行動を取りましょう。加害者との関係に配慮しつつも、法的権利をしっかりと認識することが大切です。