法人所有の不動産を売却する際には、登記申請や司法書士への委任状の作成が必要になります。個人とは異なる書類の取り扱いや押印ルールがあり、適切な知識がなければ手続きでトラブルが生じる可能性も。本記事では法人が不動産売却を行う場合に必要な登記申請手続きと委任状の作成方法について詳しく解説します。
司法書士への委任状は「会社名義」で作成する
法人が司法書士に登記を委任する場合、委任状は会社名義で作成します。つまり、会社として司法書士に登記手続きを委任することになります。
文面としては「○○株式会社 代表取締役 △△」といった形で会社名を主体にし、代表取締役の肩書と氏名が明記される必要があります。個人名義での委任では法的な効力に疑義が生じる場合がありますので注意しましょう。
押印は「法人の実印(登記所届出印)」が必要
委任状に押印する印鑑は、法務局に届け出ている法人の実印(代表者印)でなければなりません。代表取締役の個人印や認印では無効とされる可能性があります。
たとえば、代表取締役の実印(個人の印鑑登録証明書付き)ではなく、あくまでも法人としての登記のため、法人の実印が必要です。
委任状に必要な記載項目
司法書士への登記委任状には、以下のような内容を正確に記載する必要があります。
- 会社名(法人名)
- 代表者の肩書と氏名
- 住所(本店所在地)
- 委任事項の詳細(例:所有権移転登記に関する一切の件)
- 受任者(司法書士)の氏名
- 作成年月日
これらを明記し、法人実印を押すことで正式な委任状となります。
代表者変更時には最新の登記簿が必要
登記において代表取締役が変更されている場合は、最新の登記事項証明書を取得し、登記内容と一致させておく必要があります。旧代表の名義で委任状を作成すると、登記申請が却下される恐れがあります。
また、新代表者が印鑑登録を済ませていない場合は、登録手続きも事前に行っておきましょう。
司法書士との事前確認がトラブル回避の鍵
委任状の記載方法や押印について不安がある場合は、事前に依頼する司法書士に相談するのが最も確実です。フォーマットを提供してくれる場合も多く、誤った作成を避けることができます。
また、売買契約書の内容や登記に必要な書類全体の整合性も確認してもらえるため、売却手続き全体がスムーズになります。
まとめ:法人不動産売却では「会社名義」「法人実印」が鉄則
法人所有不動産の売却における登記手続きでは、委任状は必ず会社名義で作成し、法務局に届け出た法人の実印で押印することが原則です。誤った名義や印鑑を使用すると登記ができず手続きに支障をきたす可能性があるため、司法書士と連携しながら正確に準備を進めましょう。