受注生産の商品が不良品だった場合、販売者の責任は?債務不履行や返品・交換の法的基準を解説

ファッションブランドと大手小売店のコラボによる限定受注生産アイテムが話題を呼ぶ一方で、トラブルも起きています。特に、注文後に届いた商品が不良品だったり、仕様と異なる状態で届いたにもかかわらず交換が拒否されるケースには、消費者としてどのように対応すべきか悩むところです。今回は受注生産と売買契約、民法上の債務不履行に関するポイントを中心に解説します。

受注生産と売買契約の成立時点

受注生産とは、注文を受けてから製造を開始する販売形式です。多くの場合、全額先払いで注文が確定し、その時点で売買契約が成立すると考えられます。

特に「注文後のキャンセル不可」「生産開始後の返品不可」などの特約がある場合、消費者も慎重に注文する必要があります。しかし、商品に重大な不具合がある場合は例外です。

不良品・仕様違いは債務不履行に該当するか?

民法第415条に基づくと、売買契約に基づく目的物が契約通りでない場合は「債務不履行」に該当します。たとえば、上下セットの服なのに上下で異なる素材が使われていた、仕様通りのデザイン・色でなかったなどのケースはこれに該当し得ます。

また、製造ミスによる明らかな不良品(縫製ミス、サイズの著しいずれ、破損など)も債務不履行や瑕疵担保責任を問える対象です。

返品は可能でも交換できないという対応の妥当性

不良品であることが明白な場合、販売者は原則として修補・交換・返品返金いずれかの方法で対応する責任があります(民法第562条)。

ただし、受注生産で「予備在庫がない」「追加生産できない」という場合、交換対応が難しいこともあります。そのため「返品は可能、交換は不可」という対応がなされることもあるのです。

とはいえ、消費者としては「同等の代替品の提示」や「相応の返金・割引・補償」など、誠実な対応を求めることができます。

一方的なキャンセルは契約違反に当たるか

注文者側に落ち度がなく、販売側の都合で「不良品のためキャンセル」と通知された場合、それが一方的な契約解除であれば法的には問題があります。民法第541条に基づき、契約解除には相当な理由が必要です。

とくにすでに入金済みであれば、販売者は契約内容を履行する義務があります。代替策を提示することなくキャンセル処理だけを行うのは、誠実な履行義務違反と評価される可能性もあります。

トラブル時に取るべき具体的な対応方法

万一トラブルに巻き込まれた場合は、次のような対応を検討しましょう。

  • メールや明細など注文内容・支払済み証拠を保管
  • 販売者に書面やメールで正式な対応を求める
  • 消費者センターへの相談
  • 必要に応じて弁護士による通知書送付や法的手続き

感情的にならず、記録と証拠を整えたうえで理性的な交渉を進めることが重要です。

まとめ:受注生産でも契約違反には毅然と対応を

限定生産品やコラボ商品は魅力的ですが、受注生産であっても販売者の一方的なキャンセルや仕様違い、不良品の放置は法律上許されるものではありません。契約内容をしっかり確認した上で、不利益を被った場合には毅然とした対応を取りましょう。

消費者契約法や民法を根拠に、正当な権利を主張することが信頼ある取引社会につながります。

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