少額訴訟制度は、60万円以下の金銭請求に限定され、通常よりも迅速・簡易にトラブルを解決できる仕組みです。裁判と聞くと「弁護士が必要」と思われがちですが、実はこの制度では本人訴訟が非常に一般的に行われています。
少額訴訟の制度と特徴
少額訴訟は地方裁判所の簡易裁判所で扱われ、原則として1回の口頭弁論で即日判決が出る点が大きな特徴です。訴訟費用も低く抑えられており、弁護士を雇わなくても対応しやすい設計となっています。
そのため、一般市民がトラブルの当事者として自ら裁判所に出向き、証拠や主張を用意して臨むことが想定されています。
本人訴訟はどれくらい一般的?
実際には、原告の約8割以上が本人訴訟で申し立てを行っています。これは、弁護士費用が訴額に見合わないケースが多いためで、「内容証明郵便→少額訴訟」という流れが一般的な解決ルートになっています。
被告側も本人で応じるケースが多く、裁判所も素人の当事者に対して配慮して進行してくれるため、過度な不安を抱く必要はありません。
本人訴訟のメリットと注意点
メリット:
・訴訟費用を抑えられる
・自分の意志を直接伝えられる
・訴訟経験として得る学びが大きい
注意点:
・法的知識が乏しいと主張の整理に苦労する
・感情的な対立になると冷静さを欠きやすい
・証拠や主張の組み立ては慎重に行う必要あり
本人訴訟で勝つために押さえるべきポイント
勝訴に近づくためには、事前の準備が重要です。具体的には、以下のような点を押さえると安心です。
- 時系列でトラブルの経緯を整理
- 証拠となる書類や録音、LINEのスクショを用意
- 請求金額の根拠を明確にする
- 冷静で簡潔な主張を心がける
特に「請求内容が正当である」と裁判官に納得してもらうには、客観的な資料が決め手になります。
実際の事例:本人訴訟で解決したケース
例えば、アパート退去時の敷金返還トラブルで、不当な清掃費を請求された30代女性が少額訴訟を本人で提起し、原告勝訴を勝ち取ったケースがあります。彼女は事前に国民生活センターでアドバイスを受け、写真や見積書を証拠として提出していました。
このように、法的知識がなくても「証拠」と「論理」がしっかりしていれば十分に戦える場面が多くあります。
まとめ:少額訴訟は本人訴訟がスタンダード
少額訴訟においては、本人訴訟がむしろ“基本形”ともいえるほど一般的です。簡易な手続きと柔軟な裁判運営により、一般市民でも法的トラブルを適正に解決できる道が開かれています。
ただし、事前準備や客観的視点を欠かさず、冷静に臨むことが成功のカギとなります。困った時は、法テラスなどの無料相談機関も積極的に活用しましょう。