民事再生手続き中の給料と社長の財産はどうなる?社員が知っておきたいポイント

会社が経営難に陥り「民事再生手続き」に入った場合、社員として最も気になるのは「給料は支払われるのか」「会社や社長の財産はどうなるのか」という点ではないでしょうか。本記事では、民事再生手続中の企業に勤める従業員が知っておくべき基本情報と、実際に起こりうる事例を解説します。

民事再生手続きとは?倒産とは違うの?

民事再生手続きは、会社が破産を避けるために裁判所の管理下で再建を目指す法的手段です。完全な「倒産」ではなく、「一時的な経営不振から立て直すための再生手段」です。債務(借金など)の支払いを一時停止し、再建計画を立てて経営を続けます。

そのため、通常は従業員の雇用は維持され、会社の営業も継続されます。しかし、経営状態によっては一部事業の縮小や人員整理が行われることもあります。

民事再生中でも給料は支払われるのか?

基本的に、民事再生手続き中であっても、従業員の給料は「優先的に支払われる債権」として扱われ、支払いが保証される法的保護があります。

ただし、会社の資金繰りが非常に悪い場合、一時的に遅配や未払いが発生するリスクもあります。その場合、厚生労働省が所管する「未払い賃金立替払制度」により、一定条件を満たせば最大で80%程度の未払い賃金が支給される可能性もあります。

民事再生期間中、出社義務はあるのか?

会社が営業を続けている限り、原則として出社義務は続きます。しかし、事業の縮小や業務の停止により「ほぼ仕事がない」「在籍しているだけ」という状態になることもあります。

この場合も、雇用契約が継続している限りは賃金が支払われるべきですが、就業実態や雇用契約の内容によっては一部の賃金がカットされる可能性もあるため、就業規則や労働契約書の確認が重要です。

社長の財産や自宅はどうなるのか?

民事再生手続きは「法人」に対して行われるものなので、社長個人の財産には原則として影響しません。つまり、会社が再生手続き中であっても、社長の個人資産(自宅・預金など)はそのまま維持されることが通常です。

ただし、社長が会社の借入金の連帯保証人になっていた場合や、個人名義で会社の債務を担保していた場合は、個人資産も差し押さえの対象になる可能性があります。

会社が再生できなかった場合の影響

民事再生計画が認可されなかったり、再生途中で資金が枯渇した場合は、「破産手続き」に移行します。この場合、雇用契約は終了し、解雇される可能性が高くなります。

ただし、破産手続きでも「賃金債権」は優先順位が高いため、未払いがあった場合には立替制度の対象となります。状況によっては、転職や再就職の準備も視野に入れて動く必要があります。

社員としてできる対策・相談先

会社の再建が不透明な場合、社員として次のような行動が有効です。

  • 労働基準監督署への相談
  • 未払いがある場合は立替払制度の情報確認
  • 就業規則・雇用契約書の再確認
  • 労働組合があれば相談
  • 転職活動の準備

また、地域の労働相談窓口や弁護士による無料相談なども活用できます。

まとめ:状況を正しく理解し、冷静に対処を

会社の民事再生手続きは、経営再建のための制度であり、すぐに雇用や賃金に影響するわけではありません。しかし、資金難や経営判断次第では給与の遅配や雇用継続の不安が生じることもあります。

社長の個人財産は原則保護されますが、連帯保証の有無によっては責任を負うケースも。社員としては、制度や権利を正しく理解し、いざという時に備えておくことが大切です。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

上部へスクロール