借金の返済に行き詰まり、債務者本人が自己破産し、さらに保証人までもが返済できず共倒れとなる場合、「借金は完全にチャラになるのか?」という疑問を抱く方は少なくありません。この記事では、自己破産と保証人制度の法的な関係を解説しつつ、実際に借金が免除される条件や例外について詳しく見ていきます。
自己破産すると借金は帳消しになるのか?
自己破産は裁判所を通じて借金の支払い義務を免除してもらう制度です。免責が認められると、基本的に借金の返済義務はなくなります。ただし、全ての借金が帳消しになるわけではなく、税金や養育費、一部の損害賠償債務などは免責されません。
また、裁判所の免責決定が下されるまでは借金は残っていますし、免責不許可となるケース(浪費やギャンブル目的の借金など)も存在します。
保証人はどうなるのか?
借主が自己破産した場合、保証人には借金の返済義務が移行します。保証契約とは、債務者が返済できない場合に備えて、債権者が回収の道を確保するためのものだからです。
つまり、保証人は「契約上の義務」で返済を求められ、借主の破産に関係なく支払う責任を負うことになります。
保証人も自己破産したらどうなる?
保証人自身も返済が難しく、自己破産を申請して免責が認められれば、借主・保証人ともに返済義務を免れることになります。
この結果として、債権者は請求先を失い、債権を回収できなくなることになります。法的には「借金がチャラになる」ということになりますが、それはあくまで免責が認められた場合に限ります。
破産しても残る可能性のある債務
以下のような債務は、たとえ自己破産しても免責されないことがあります。
- 税金(住民税、所得税など)
- 交通事故などの重過失による損害賠償
- 養育費や慰謝料(婚姻破綻の原因によるもの)
- 悪意のある不法行為による債務
また、ギャンブルによる借金は免責不許可事由に該当することがあるため、注意が必要です。ただし、実務上は裁量免責が適用され、最終的に免責が認められるケースも多数あります。
共倒れ破産のリスクと再出発の現実
債務者と保証人が共に破産した場合、一見「全てがチャラになって新しい人生をスタートできる」ように思えますが、実際には以下のような課題があります。
- 信用情報(いわゆるブラックリスト)に5~10年登録される
- クレジットカードやローンが使えない
- 家族や職場への影響が大きい
- 破産手続き中は財産処分や制限行為(海外渡航など)もある
一方で、破産手続きを適切に終えれば、法的には借金から解放され、再起が可能になります。
実際の手続きと注意点
自己破産には費用(弁護士費用や裁判所への費用)がかかります。保証人も同様に申立てが必要で、別個に扱われます。
手続きを進めるには、弁護士への相談が推奨されます。特にギャンブルなどの免責不許可事由がある場合、法律の専門家の支援なしでは困難です。
まとめ
借主と保証人の双方が自己破産し、免責が認められた場合、原則として借金は帳消しになります。ただし、全ての債務が対象ではなく、残る債務もあります。また、破産後の生活再建には一定のハードルも存在します。
再出発は可能ですが、「借金がチャラになる=リスクゼロ」ではないことを理解し、慎重に手続きに臨むことが大切です。