身内が犯罪に巻き込まれた際、想定外のトラブルが起こることも少なくありません。特に、拘置所にいる受刑者から家族宛に届く手紙が「脅迫的な内容」であった場合、その心理的負担は計り知れません。この記事では、拘置所からの手紙の検閲体制や、脅迫的な手紙を止めるために家族が取れる法的手段、相談先について詳しく解説します。
拘置所からの手紙は検閲されるのか?
日本の拘置所では、在監中の受刑者が外部と文通をする場合、基本的に拘置所職員による検閲が行われます。これは刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(通称「刑事収容施設法」)に基づいています。
検閲の目的は、犯罪の計画・再犯の恐れ・外部への不適切な影響を防ぐためであり、脅迫・嫌がらせの内容があれば差し止めの対象となります。ただし、全てを完璧に把握できるわけではなく、内容の判断に曖昧さが残る場合もあります。
脅迫的な手紙が届いたときの対応策
明らかに恐怖を感じさせる文面や、生命・身体・名誉・財産などに対する害悪を加える旨が書かれていた場合、それは刑法上の「脅迫罪」に該当する可能性があります。
そのような手紙を受け取った場合は、証拠として保管し、最寄りの警察署へ相談してください。コピーを取り、原本は封筒ごと保存しておくことが重要です。また、あわせて拘置所(または拘置支所)の長宛に文書で苦情を申し立てることも有効です。
手紙の送付を停止できるのか?
拘置所における通信の権利は憲法である程度保障されていますが、送付先の同意がない場合、受け取り拒否が可能です。以下の方法があります。
- 受け取り拒否の意思を拘置所に書面で提出する
- 拘置所長に対して「文通相手の削除」を求める申請を出す
- 弁護士を通じて正式に要請する
特に「継続的に迷惑行為がある」と記載すれば、一定の効果が期待できます。
被害届や接近禁止命令は可能か?
脅迫行為が続く場合、被害届を提出することで刑事事件として捜査が始まる可能性があります。さらに、家庭裁判所に「保護命令」や「接近禁止命令」を申し立てることも可能です(特に配偶者・内縁関係があった場合に有効)。
実例として、過去に受刑者からのストーカー的な文通を受けた家族が接近禁止命令を認められたケースもあります。法テラスを通じて無料で相談可能です。
心身のケアと相談先について
このような問題に巻き込まれた場合、精神的にも疲弊することが多くあります。以下の支援先が利用可能です。
- 法テラス:無料法律相談が可能
- 各都道府県警察の生活安全課:ストーカー・DV対応
- 家族関係相談センター:精神的支援・家族関係の調整
また、心療内科やカウンセラーに相談することで、心の負担を軽減することも大切です。
まとめ:脅迫的な手紙には冷静かつ法的に対応を
拘置所からの手紙でも、内容に脅迫や恐怖を感じた場合、無視するのではなく記録と報告を行いましょう。送付の停止や被害届の提出など、法的手段を取ることで自分と家族の安全を守ることが可能です。
まずは警察や弁護士、法テラスなど専門機関に相談し、適切な対応を早めに進めてください。恐怖に立ちすくむことなく、正当な権利を行使することが最も重要です。