プライバシーを守りたいという思いから、電話番号を変更することで個人の住所が特定されるのを防げるか気になる方も多いでしょう。特に訴訟やトラブルなどが関係する場合、「弁護士照会制度(23条照会)」がどのように利用され、どこまで個人情報にアクセスできるのかは、慎重に知っておく必要があります。
弁護士照会制度(23条照会)とは?
弁護士法第23条に基づく「弁護士照会制度」は、弁護士が職務上必要な範囲で、公共機関や企業などに対し情報開示を求めることができる制度です。これにより、氏名や電話番号などの情報から住所などを特定するための情報を得ることが可能になります。
たとえば、携帯電話会社に対して「この番号を契約している人物の住所を教えてほしい」と照会することが、一定の条件のもとで認められています。ただし、開示には正当な理由が必要です。
電話番号変更で住所特定を回避できるか?
電話番号を新たに取得し、旧番号との関連を一切断った場合、過去の番号に基づく照会では新しい番号の情報にはたどり着けません。したがって、単純に過去の電話番号を照会されても、住所特定は難しくなります。
しかし、SNSや通販履歴、公共料金の登録など、どこかで新しい番号と氏名・住所が結びつくと、そこから辿られるリスクは残ります。つまり、電話番号変更のみでは完全に安全とは言えません。
通信会社が開示に応じる条件とは
弁護士照会において、通信事業者が情報を開示するには「正当な理由」が必要です。たとえば、損害賠償請求や名誉毀損、ストーカー被害など、法的な利害関係が認められる案件に限られます。
さらに、弁護士が照会をかける際には所属弁護士会の審査を受ける必要があり、目的が不適切と判断された場合は却下されるケースもあります。
住所特定の回避には何が有効か?
住所の秘匿を徹底するためには、電話番号変更だけでなく、以下のような複合的対策が有効です。
- 公共料金や契約において「旧情報」との紐付けを断つ
- SNSや通販サイトなどへの登録情報の管理徹底
- 郵便物の転送や受取場所の工夫
また、どうしても不安がある場合は、弁護士や専門の法律相談窓口に相談することで、個別の事情に応じた適切な対処法を得ることができます。
実際に住所が特定されたケースとそうでないケース
実例として、名誉毀損やネット上の誹謗中傷案件では、電話番号やIPアドレスから住所を特定されることがあります。一方で、連絡先が変更されており、SNSや契約情報にもつながりがなかったため特定が困難だったケースもあります。
つまり、照会の成否は照会先情報の正確性と紐付けの強さに依存します。
まとめ:電話番号変更だけでは不十分、総合的な情報管理を
電話番号を変更することで住所特定のリスクはある程度軽減できますが、それだけで完全に回避するのは難しいのが実情です。情報管理の意識を高め、個人情報が無関係に露出しないような工夫と、必要であれば法的なサポートも視野に入れることが重要です。
不安な場合は、地域の法テラスや個別の弁護士相談で現状を確認し、今後の対策を講じることをおすすめします。