勤務中の社用車事故で修理費を請求される?会社と従業員の責任と適切な対応

社用車で勤務中に事故を起こし、退職後に修理費用を請求されたケースは少なくありません。本記事では、こうした状況に直面したときに知っておくべき基本的な法的枠組みと適切な対応策をわかりやすく解説します。

業務中の事故における会社と従業員の責任

会社は従業員が業務中に起こした事故について、「使用者責任」(民法715条)および「運行供用者責任」により、被害者への賠償責任を負います。

したがって、修理費など発生した損害の第一義的負担者は会社です。また、多くの場合は企業が加入する保険で対応されます。

従業員への求償(賠償請求)は可能か?

企業が従業員に対して求償することは可能ですが、全額の請求は難しく、「信義則上相当と認められる範囲」で制限されます。裁判例では、請求額は損害額の数%〜20%程度になるのが一般的です。

特に軽度の不注意による事故では企業が全面負担することが多く、求償されるケースは限定的です。

給与からの天引きは合法か?

労働基準法第24条により、給与は原則として「全額払い」が義務付けられており、従業員の同意がない限り会社が勝手に天引きすることはできません。

仮に天引きを行う場合でも、従業員の自由な意思による書面での同意が必要で、同意が不当な圧力で得られたものであれば無効です。

会社から請求された場合の正しい対応

まず、事故の状況や過失の程度を整理し、自分の責任範囲を明確にしましょう。修理費見積書や社内で類似事故時の対応例も確認します。

請求に納得できない場合は、会社と協議し、合意内容を書面化することが望ましいです。合意なしに減給や天引きを強要される場合は、不当として抵抗できます。

相談できる機関とサポート先

労働問題に詳しい弁護士への相談はもちろん、労働基準監督署や総合労働相談センター(法テラス)への相談も有効です。

特に、会社の就業規則に記載のない規定に基づく請求や処分については、専門家と相談することが大切です。

まとめ

業務中の社用車事故で発生した修理費は、原則として会社が負担するものです。従業員への請求(求償)は限定的であり、全額を支払わされるケースはまれです。

給与からの天引きは、従業員の同意なしにはできません。請求された場合は落ち着いて内容を確認し、必要に応じて専門家の助言を求めましょう。

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