日本の警察官は拳銃をカスタムできるのか?制度・運用の実態を解説

映画やゲームの影響で、警察官の拳銃にカスタムパーツを取り付ける姿をイメージする方も多いでしょう。しかし、日本の警察制度において、そのような自由なカスタマイズは実際に可能なのでしょうか?本記事では、日本の警察官と拳銃の関係、カスタマイズの可否、制度的背景までをわかりやすく解説します。

日本の警察が使用する拳銃の基本装備

日本の警察官が標準で使用する拳銃は、主に38口径の回転式拳銃(リボルバー)です。代表的なモデルには「ニューナンブM60」や「S&W M37」があり、これらは警察庁が一括調達して全国に配備しています。

基本的に装備は官給品(国家が支給する装備品)であり、使用方法や管理体制は極めて厳格に定められています。拳銃は個人所有ではなく、所属する警察署・交番での管理下に置かれています。

拳銃のカスタムは許されているのか?

日本の法律や警察庁の運用指針において、個々の警察官が勝手に拳銃を改造・カスタムすることは認められていません

理由は以下の通りです。

  • 官給品である以上、勝手に改造することは器物損壊や管理義務違反にあたる
  • 武器の機能や安全性が変更されることで、事故や誤作動のリスクが高まる
  • 統一された訓練・運用が困難になる

警察機関が行う公的な改良は存在する

ただし、拳銃のグリップ形状や引き金の重さといった要素について、警察庁や都道府県警が制度的に検証・改善を行う場合はあります。

たとえば高齢者警察官の増加に対応して、軽量グリップの導入や、視認性を高めた照準器の研究などが進められることもあり、それらは正式な試験と承認を経たうえで装備に反映されます。

海外との比較:米国の警察官は自由にカスタム可能?

米国の一部の州や郡では、警察官が自費で自分の拳銃を用意し、トリガーやスライドなどをカスタムすることが許されている例もあります。これは国によって警察組織の構造が大きく異なるためです。

しかし、日本では中央集権的な国家公安委員会・警察庁の統制下にあるため、個人判断による改造の余地はほとんどありません。

違反した場合の処分

万が一、警察官が拳銃の部品を勝手に交換・改造した場合、懲戒処分や刑事罰の対象となる可能性があります。

実際に過去、銃の分解清掃を私的に行っただけで厳重注意や減給処分となった事例も報告されています。法的根拠は「銃砲刀剣類所持等取締法」や国家公務員法による懲戒規定です。

まとめ

日本の警察官が拳銃をカスタムすることは原則禁止されており、厳格な管理と規定のもとに装備が運用されています。映画やアニメで見るような自由な改造は現実には存在せず、公的な制度の中で機能的改良が行われるにとどまります。

警察装備の運用は安全と信頼の維持に関わる重要な事項であり、こうした制度設計の背景には社会的な信頼と秩序維持の理念があるのです。

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