「アプリをインストールすればPayPayや現金をプレゼント」といった甘い言葉で勧誘され、行動したのに何の見返りもなく連絡が途絶えた――。SNS上で急増しているこのような詐欺的手口に対して、法的にどのような対処が可能なのか、被害者が取るべき具体的なステップを解説します。
アプリインストール詐欺とは?その仕組み
この詐欺の典型的な構図は、InstagramやX(旧Twitter)などで「アプリを複数インストールすれば現金をプレゼント」というDMや投稿が拡散され、被害者がその条件を満たしたあと、報酬が支払われないままブロックされてしまうというものです。
多くの場合、詐欺師側はアフィリエイト報酬を目的にしており、被害者がアプリをインストールすることで報酬を得ています。つまり、報酬を得る手段だけを利用されてしまう構造です。
警察では「民事不介入」ってどういう意味?
この種の詐欺は「金品の約束があったが履行されなかった」ケースとして、警察から「民事不介入」と判断されることがあります。つまり、詐欺罪として刑事事件化するにはハードルが高く、自ら民事訴訟で回収を試みる必要があるということです。
ただし、被害が組織的・広範囲に及んでいる場合や、常習的に行われている証拠が集まれば、刑事告訴の対象になり得ます。
民事訴訟で訴えるには?必要な情報と準備
民事で訴える場合は、以下の情報が重要です。
- 相手のアカウント名、プロフィール画面のスクリーンショット
- やり取りしたDMの全文
- アプリをインストールした証拠(インストール履歴など)
弁護士に相談することで、詐欺的手口に基づいた「不当利得返還請求」や「損害賠償請求」として提起することが可能です。
弁護士費用はどれくらいかかる?
民事訴訟を行うには費用が発生します。主な目安は以下の通りです。
- 相談料:30分あたり5,000〜10,000円程度
- 着手金:請求額の8〜15%程度(例:3万円なら2,000円〜5,000円程度)
- 報酬金:勝訴時の成果に応じて請求額の10〜20%
少額訴訟(60万円以下の金銭トラブル)であれば、自分で簡易裁判所に出向いて訴えることも可能です。この場合は印紙代(数百円〜数千円)と郵送費程度で済みます。
詐欺にあわないための予防策
このような詐欺に巻き込まれないためにも、以下の点を心がけましょう。
- 「報酬は後払い」「簡単に稼げる」などの文言には要注意
- 知名度のあるインフルエンサーでも信用しすぎない
- スクリーンショットや記録は常に残しておく
万が一被害に遭った場合も、慌てずに証拠を整理し、信頼できる弁護士に早めに相談することが重要です。
まとめ:泣き寝入りせず、正しい対処を
インスタでの「PayPayプレゼント」や「現金還元」を謳ったアプリインストール詐欺は、SNS時代ならではの巧妙な手口です。警察が民事不介入と判断した場合でも、民事訴訟による返金請求や、集団での情報共有による警告など、被害者ができることは数多くあります。
泣き寝入りせず、法的手段や相談機関を活用して、次の被害者を出さないための一歩を踏み出しましょう。