後遺障害は自覚症状がなくても認定される?脊椎圧迫骨折の等級と認定基準を解説

交通事故後に骨折や怪我が完治しても、身体に一定の変形や機能障害が残ることがあります。このような状態は「後遺障害」として認定される可能性がありますが、もし本人に痛みや違和感がなかった場合でも認定は受けられるのでしょうか?今回は特に脊椎(背骨)の変形について、自覚症状の有無と後遺障害認定の関係を中心に解説します。

後遺障害とは?症状固定後に残る障害を対象

後遺障害とは、治療を続けてもこれ以上の改善が見込めないと判断された「症状固定」後に残る障害のことです。保険実務においては、自賠責保険に基づく等級制度(1級〜14級)でその内容が評価されます。

たとえ痛みやしびれなどの自覚症状がなくても、画像所見や医師の診断によって医学的に障害が認められれば後遺障害として扱われることがあります。

脊椎圧迫骨折と後遺障害:変形があれば対象に

脊椎(背骨)圧迫骨折の場合、「脊柱に変形を残すもの」として、自賠責14級5号またはそれ以上に該当する可能性があります。

この等級では自覚症状の有無は問われず、画像(レントゲン・CT・MRI)上で圧潰変形が明らかであれば、「変形障害」として認定対象となります。痛みがないからといって、等級が認められないわけではありません。

実際のケース:自覚症状なしで認定された例

たとえば、横断歩道での事故により腰椎の一部を骨折し、数か月後に症状固定となった男性がいました。彼は職場復帰もできており、普段の生活に支障はないと感じていましたが、診断書には「腰椎○番圧潰変形あり」と明記されていました。

このような場合でも、14級の後遺障害等級が認定され、自賠責保険から慰謝料と逸失利益の補償を受けることができました。

後遺障害申請のポイント:画像と医証がカギ

  • 医師の診断書に「変形」の記載がある
  • 画像所見(X線、CTなど)で明確な骨変形が確認できる
  • 症状固定と判断されている

以上の条件が揃えば、自覚症状がなくても後遺障害の申請は可能です。逆に、画像で異常が認められない場合は、自覚症状があっても非該当とされるリスクもあります。

等級が認定された場合のメリット

後遺障害の等級が認定されると、以下のような補償が受けられます。

  • 後遺障害慰謝料(14級の場合で32万円程度)
  • 逸失利益(労働能力喪失の程度に応じて)

特に14級であっても、将来的な労働への影響や精神的苦痛への補償として重要な制度です。申請には医師の協力や専門家の助言を受けることをおすすめします。

まとめ:自覚症状がなくても画像所見で認定される

後遺障害の認定においては、痛みや不便さといった「自覚症状」が必須ではありません。医学的に変形や障害が確認されれば、後遺障害として認められることがあります。

脊椎圧迫骨折など、骨の変形が診断書に記載されている場合は、自賠責への後遺障害申請を前向きに検討しましょう。必要に応じて、弁護士や交通事故に詳しい専門家への相談も有効です。

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