音楽を使用する事業を行っていると、ある日突然JASRAC(日本音楽著作権協会)から「著作権料を支払ってください」といった通知が届くことがあります。特に個人経営のダンススタジオやフィットネス施設では、これまで無関心だった著作権問題に直面し、戸惑うケースが少なくありません。
JASRACの著作権料請求は本物なのか?
まず最初に確認したいのは、その通知や電話が詐欺かどうかです。JASRACは音楽著作権を管理する正式な団体であり、実際に音楽が営利目的で利用されていると判断した場合、正当な著作権使用料の支払いを求めてきます。
郵送された書類に記載された連絡先や振込先が、JASRAC公式サイトに記載された情報と一致していれば、詐欺ではなく本物の通知である可能性が高いです。不安な場合は、JASRAC公式サイトで確認し、正規の電話番号に折り返して問い合わせましょう。
なぜ今さら請求が来たのか?過去分の請求は妥当?
「10年も前からやっていて、今さら請求されるなんて…」という気持ちはもっともですが、JASRAC側は音楽の使用実態を把握するのに時間がかかることがあり、数年遅れて請求が来ることも珍しくありません。
著作権法上、時効は通常3年ですが、悪意や隠ぺいがあったと判断された場合にはより長くさかのぼって請求されるケースもあります。JASRACが「過去○年間にわたる使用料」として請求するのは、こうした実態を踏まえた対応と考えられます。
どんな場合に著作権料が発生するのか?
JASRACが管理する楽曲をスタジオ内で流す場合、営利目的(ダンスレッスンやイベントなど)での利用は「演奏権」の対象となり、著作権料の支払い義務が生じます。たとえCDを購入して合法に所有していても、他者に聞かせる形で再生する場合には別途許諾が必要です。
具体的には以下のようなケースが該当します:
- レッスン中にBGMとして音楽を流す
- 発表会などで音楽を使用する
- 有線放送やストリーミングを施設内で再生する
分割払いや交渉の余地はある?
JASRACは一括での支払いが難しい場合、分割払いに応じることもあります。突然の請求に驚く気持ちは当然ですが、放置すると遅延損害金や訴訟などのリスクもあるため、まずは冷静に連絡し、支払い方法について相談することが大切です。
また、もし著作権料の発生に異議がある場合は、「自分はJASRAC管理楽曲を使っていない」など証拠や説明をもって対応しましょう。代替として、JASRAC非管理のフリー音源などに切り替えるという方法もあります。
著作権トラブルを防ぐためにできること
今後同様のトラブルを避けるためには、次のような対策が有効です。
- JASRACと包括契約を結び、定額で使用許可を得る
- 著作権フリーまたは商用利用可能な音源を使用する
- 契約前に法律相談を受ける(行政書士や弁護士など)
また、地域の音楽著作権に詳しい団体や商工会などに相談すると、過去の事例や交渉方法について助言が得られることもあります。
まとめ:まずは冷静に内容を確認し、正当な手続きを
ダンススタジオなどの小規模事業者でも、営利目的で音楽を使う以上、著作権法に基づく使用料の支払いは必要です。JASRACからの通知が届いた場合は、まず詐欺でないことを確認し、内容に納得できない点があれば直接問い合わせましょう。
分割払いの相談や、過去分の精査も可能なため、一人で抱え込まず、適切な専門家や関係機関に相談しながら、納得のいく形で解決を目指してください。